7シリーズへ劣らず快適至極 BMW X7 xドライブ40d Mスポーツへ試乗 小変更

公開 : 2023.07.20 08:25

慣れれば3シリーズを操っているかのよう

シャシーは、グレートブリテン島には少々手に余るかもしれない。動力性能ではなく、ボディサイズという点で。制動力に不足はない。コンパクトカーのホイールと同じくらいの直径を持つディスクを、巨大なキャリパーで挟む。

ホイールは21インチと巨大で、タイヤも肉薄ではあるが、乗り心地はフラットでスムーズ。見た目の心配を裏切るほどの、最高の快適性を与えてくれる。気になる点といえば、荒れた路面で響きがちな、ランフラットタイヤのノイズくらいだった。

BMW X7 xドライブ40d Mスポーツ(英国仕様)
BMW X7 xドライブ40d Mスポーツ(英国仕様)

ステアリングは、驚くほどダイレクトでタイト。カーブの続く一般道では、ボディサイズを小さく感じさせるほど。乗り慣れてくると、ひと回り大きいBMW 3シリーズ・ツーリングを操っているかのように思えてくる。

これは特筆すべき特長といえ、このクラスのSUVでは他に例がない印象だといっていい。車内空間には非常にゆとりがあり、助手席側の人が隣車線のクルマに乗っているように思えるほど、離れているにも関わらず。

ドライバーズシートは、至って快適。電動で細かな位置調整が可能で、マッサージ機能も内蔵されている。よほど身長の高い大人でも、窮屈に感じることはないだろう。

ダッシュボードの上部には、12.3インチのメーター用モニターと、14.9インチのインフォテインメント用タッチモニターが一体になった、カーブを描くパネルが鎮座。筆者には、少し情報過多に思えた。

7シリーズに負けず劣らず快適至極

インフォテインメント・システムは多機能で、お手持ちのiPadの方ができることは少ないかもしれない。マニュアルを読み込まなければ、手放すまで使用しなかった機能も出てきそうに思える。

ナビの起動やアップル・カープレイ、デジタルラジオの選曲などは簡単。だが、新しくスマートフォンと連携させるのは、少々難しく思えた。駐車時は、センサーやカメラなどがドライバーを助けてくれる。

BMW X7 xドライブ40d Mスポーツ(英国仕様)
BMW X7 xドライブ40d Mスポーツ(英国仕様)

ムードあるアンビエントライトも指定できる。筆者の好みはフラミンゴ・モード。サンルーフ側にもLEDライトが内蔵され、ハイテクな光の演出に浸れる。

リアシート側も広々で快適。小柄な大人であれば、3列目でも充分くつろげるはず。2列シート・レイアウトにすれば、巨大な荷室が出現する。

筆者は実際に試乗するまで、X7の大きすぎるボディに困惑するだろうと予想していた。運転しにくく、馴染めないのではないかと。しかし、それはまったくの杞憂だった。

背の低いリムジンの7シリーズの方が、コンフォートでラグジュアリーな移動手段として適切ではあるものの、X7も負けず劣らず快適至極。実用性の高さでは、比べ物にならないはず。

加えて、大型SUVの動力源としてディーゼルターボは未だにベスト。多くの支持を集めたとしても疑問は抱かない。英国で懸念すべきは、バッテリーEVへの変革期であることと、ウルトラ・ローエミッションゾーン(ULEZ)への立ち入りくらいだろう。

BMW X7 xドライブ40d Mスポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:8万9405ポンド(約1565万円)から
全長:5181mm
全幅:2000mm
全高:1835mm
最高速度:244km/h
0-100km/h加速:5.9秒
燃費:11.6-12.8km/L
CO2排出量:204-225g/km
車両重量:2490kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:352ps/4400rpm
最大トルク:71.2kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック/四輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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