■どんな感じ?

オフロードでは驚くほどの実力を披露する。われわれがテストしたのは、1.3ℓのディーゼル。マルチジェット・パンダ・クロスと言うモデルで、英国では全体の売上の40%がこちらになることが予想されている。最高出力は80ps、最大トルクは19.4kg-m、0-100km/hタイムは14.3秒というのがフィアットの公表する値だ。

他のパンダよりも遮音には力を入れているということだったが、ディーゼルの音は結構うるさい。特に3000rpmより上では明らかにキャビンに音が侵入してくるし、110km/h程度を2500rpmあたりで走行する際も、多くの人がボンネット下でディーゼルが忙しなく仕事をしていることに気づくはずだ。

トータルで50mm全高が高まったため、コーナーにおけるボディ・ロールは盛大だし、操舵フィールも漠然としている。しかしマッド/スノー・タイヤが路面不正を吸収してくれるため、高速域での乗り心地は良い。

ターマックやオフロードに繰り出せば、ここから先はパンダ・クロスが光り輝く領域だ。コンパクト・クロスオーバーならば躊躇するようなシチュエーションでも、素早く突き進んでいき、泥道や草で生い茂るような路上でも安定感や接地感はとても素晴らしい。またディーゼル・エンジンが低速域でたっぷりとトルクを供給してくれるおかげで、ガソリン・エンジンの存在意義が薄れてしまうのも事実だ。

48km/hまではオフロード・モードで4輪駆動を選択可能。同時に電制ロッキング・ディファレンシャルをオンにすることもできる。これらの仕事は確かなもので、泥に覆われた急傾斜やわだちのある森の小道でも簡単に突き進んでいった。