ステランティス 次世代プラットフォーム「STLAミディアム」公開 年間200万台のEVに採用

公開 : 2023.07.07 18:25

ステランティスはEV用の次世代プラットフォーム「STLAミディアム」を公開しました。全長4.3~4.9mの中型車向けの車台で、7km/kWhの高効率を実現。将来の固体電池も見据えた設計となっています。

最大航続距離700km 固体電池も対応

ステランティスは次世代EV用プラットフォーム「STLAミディアム」を発表した。クラス最高のエネルギー効率と航続距離を実現するとしている。

このプラットフォームは、次期アルファ・ロメオジュリアプジョー3008など、2020年代後半にかけて複数の新型車に採用される予定だ。

ステランティスのSTLAミディアム・プラットフォーム
ステランティスのSTLAミディアム・プラットフォーム    ステランティス

STLAミディアムでは、全長4.3mから4.9m、ホイールベース2.7mから2.9mの車両に対応しており、これは欧州Cセグメント/Dセグメントにあたる。

ステランティスは、前輪駆動と四輪駆動を設定でき、後者ではデュアルモーターを使用すると述べた。また、パワートレインに対して「柔軟性のある設計」となっており、十分な需要があれば、後輪駆動モデルにも対応することを示唆した。

例えばアルファ・ロメオは、次期ジュリアのスポーツモデルとしてのキャラクターを維持するために後輪駆動を導入するよう働きかけるかもしれない。しかし、AUTOCARが以前入手した情報では、ジュリア・クアドリフォリオはデュアルモーター、四輪駆動の高出力パワートレインを採用する可能性があるとされていた。

STLAミディアムをベースにしたモデルは、218psから387psまでの出力が用意される予定だとステランティスは語っている。だが、アルファ・ロメオCEOのジャン・フィリップ・インパラート氏は以前、最高出力1000psのジュリアについて言及しており、このプラットフォームが大きな可能性を秘めていることが伺える。

STLAミディアムに搭載可能なバッテリーパックは最大98kWhで、大型の「パフォーマンス」ユニットでは700km以上の航続距離を目指す。標準ユニットでは、WLTPテストサイクルで500km以上の航続距離を実現するという。

ステランティスはまた、このプラットフォームのエネルギー効率は1kWhあたり7kmに達するとしている。参考までに、フォルクスワーゲンID.4ピュア・パフォーマンス(52kWhバッテリー搭載)は1kWhあたり6.1kmであり、キアEV6の後輪駆動モデルも同様である。

これらの数値は、新しいバッテリー技術によってさらに改善される可能性がある。ステランティスは、固体電池を含むさまざまなバッテリーをSTLAミディアムの開発に織り込んでいると述べた。

また、ステランティスの現行ラインナップの多くを支えているPSAやFCAプラットフォームと比較して、重量を最小限に抑え、乗り心地とハンドリングを改善するように設計されている。

STLAミディアム車は、年間200万台の生産を見込む。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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