間違いなく良い第一印象 キアEV9 RWDへ試乗 スタイリッシュな大型電動SUV登場

公開 : 2023.07.25 08:25

EV6で欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したキア。7シーターのEV9で攻勢を強めます。英国編集部がその仕上がりを確かめました。

エッジーでスクエア、スタイリッシュなボディ

大型SUVは燃費が悪く、CO2の排出量が多く、気候変動へ小さくない影響を与えると受け止めている人も多いだろう。しかし近年は、豊かな暮らしの象徴としてSUVが選ばれることも珍しくない。負のイメージはありつつ、需要は大きい。

しかし、キアの新モデルがそんな現状を変えるかもしれない。このEV9のボディサイズは、全長5010mm、全幅1980mmあり、レンジローバーと同等。フルサイズのSUVでありながら、走行中にCO2を排出しないバッテリーEV(BEV)でもある。

キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)
キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)

パワートレインの大変革期にあって、SUVで存在感を示すボルボランドローバーポルシェに、小さくない影響を与えそうだ。親会社となる、ヒョンデに対しても。もうじき本格化するであろう、大型SUVにおける電動化の口火を切ったともいえる。

初めに述べておくと、キアEV9は良いクルマだと感じた。見た目では、オポジット・ユナイテッドという同社が掲げるデザインテーマを進化させた、エッジーでスクエア、スタイリッシュな造形が与えられている。

インテリアも、タッチモニターのレイアウトや、描かれるグラフィック、ドアパネルなど、細部までしっかりデザインされていることに唸らされる。しかも素材は上級で、作り込みも高品質といえる。

高機能で、耐久性も悪くなさそう。並べるライバルが、すぐには思い浮かばないほど。

サスやパワートレインの多くはEV6と共有

大型SUVとして、優れた実用性も特長だろう。2列目は独立シート2脚か、3名がけのベンチシートを選択でき、定員は6名か7名。大家族にも対応できる。6シーターを選ぶと、2列目を後ろ向きに回転でき、電車のボックスシートのようなレイアウトを作れる。

リアシート側にもエアコンの操作パネルと送風口、USBポート、小物入れなどが充実しており、長距離でも快適。忙しいビジネスマンには、移動中の会議スペースとしても有効かもしれない。

キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)
キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)

助手席と2列目の独立シートには、オプションで「エクストリーム・コンフォート」シートも搭載できる。旅客機のビジネスクラスのように豪奢なシートで、スイッチパッドを介して快適な角度へ自在に調整できる。

順序が逆になったが、EV9を目の当たりにすると、その斬新で新鮮なスタイリングに衝撃を受けるだろう。フロントマスクはモダンでプレーン。スリムなヘッドライトは、ハイテク感を漂わせる。

ボディサイドもシンプルでありながら、フェンダーラインがシャープに刻まれている。テールゲートを囲むテールライトの造形も、個性的で記憶に残る。他に例がない見た目といえ、それでいて拒否感を抱くほどインパクトが強いわけでもない。

基礎骨格をなすのは、ヒョンデ・グループが開発した、キアEV6と同じEV用のグローバル・モジュラー・プラットフォーム(E-GMP)。前後のマルチリンク式サスペンションや、パワートレインの主要部品をEV6と共有している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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