間違いなく良い第一印象 キアEV9 RWDへ試乗 スタイリッシュな大型電動SUV登場

公開 : 2023.07.25 08:25

後輪駆動で202ps 四輪駆動は383ps 航続540km

お手頃な価格のEV9は後輪駆動で、202psと35.6kg-mを発揮する駆動用モーターを1基搭載。0-100km/h加速は9.4秒が主張されている。

四輪駆動では、191psの駆動用モーターを前後アクスルに1基つづ搭載し、システム合計で383ps。最大トルクは60.9kg-mとなり、0-100km/h加速を6.0秒でこなすという。

キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)
キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)

ちなみに、オプションで追加ソフトをインストールすると、最大トルクを71.0kg-mまで増強できる。0-100km/h加速は、5.3秒に短縮される。

試乗したEV9は後輪駆動だったが、発進させてみると、スムーズさとレスポンスの良さに驚かされる。駆動用モーターは極めて静かに回転し、運転しやすく、航続距離は現実的に約480km以上へ届く様子。カタログ値は、540kmがうたわれている。

ギアセレクターは、ステアリングコラムの右側へ突き出た、ボックスにレイアウトされている。車線維持支援システムのオン・オフを切り替えるスイッチも、手の届きやすい場所にある。

回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏のパドルで調整可能。とても直感的で、他のメーカーも真似して欲しい部分だ。

ドライブモードにはノーマルとエコ、スポーツが用意され、ノーマル・モード時のステアリングの反応は自然。回生ブレーキの効きが強く、速度制御しやすく感じた。

主要な操作系のタッチには、ポルシェBMWにも迫る上質さがある。キアのクルマ作りが、大きく進歩している証拠だろう。

第一印象は間違いなく良い

乗り心地は、全般的にしなやか。段差も滑らかにやり過ごしていたが、運転した韓国の道は、英国より状態が良かったことも事実。大型のBEVは、荒れた路面の処理が苦手ということが多いが、EV9は悪くないようだ。追って、英国で確かめてみたい。

今回は東海岸を中心に約480km走らせてもらったが、100km/hに制限された高速道路の限り、シングルモーターでも充分なトルクで安楽。鋭い加速を求めると僅かに高音の響きが耳へ届くものの、それ以外は非常に静か。EV9の第一印象は、間違いなく良い。

キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)
キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)

既に韓国では販売がスタートしており、かなりの注文が舞い込んでいるという。欧州へも輸出予定にあるが、その時期や価格は明らかになっていない。少なくとも、2023年中には英国のユーザーにもデリバリーが始まるとのこと。

ざっくり、英国価格は後輪駆動で約6万5000ポンド(約1137万円)から。四輪駆動のGTラインで、7万5000ポンド(約1312万円)程度になるようではある。

キアEV9 RWDロングレンジ(韓国仕様)のスペック

英国価格:6万5000ポンド(約1137万円/予想)
全長:5010mm
全幅:1980mm
全高:1755mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:9.4秒
航続距離:540km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2500kg(予想)
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:99.8kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:202ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード/後輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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