目を潰れる価格差? メルセデス・ベンツGLC 300 クーペへ試乗 ライフスタイル ✕ スポーティネス

公開 : 2023.07.22 08:25

2代目へモデルチェンジを果たしたGLCに、クーペが登場。2.0L 4気筒ターボを積んだ300を、英国編集部が評価しました。

自由なライフスタイルにスポーティさを

周囲とは異なる、オシャレでラグジュアリーな中型SUVをお探しなら、メルセデス・ベンツGLCのクーペはいかがだろう。実用的なワゴンボディのGLCをベースに、広いリアシートと荷室を多少犠牲にしつつ、緩やかに傾斜したルーフラインで着飾っている。

このようなクーペSUVは、目新しい存在ではないかもしれない。アウディQ5のスポーツバックや、BMW X4ポルシェカイエン・クーペ、フォルクスワーゲンID.5など、同様に仕立てられたモデルを各社がラインナップしている。

メルセデス・ベンツGLC 300 4マティック・クーペ AMGライン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300 4マティック・クーペ AMGライン(欧州仕様)

より自由なライフスタイルを求めつつ、スポーティさも望むユーザーに対して、訴求力を強めたモデルだ。英国で提供されるパワートレインの選択肢は、基本的にワゴンボディのGLCと大きくは違わない。

今回試乗したGLC 300 クーペが搭載するのは、258psを発揮する2.0L 4気筒ガソリンターボ。ほかに、GLC 200d クーペでは196ps、300d クーペでは258psに設定された、2.0L 4気筒ディーゼルターボも用意される。

プラグイン・ハイブリッドのGLC 300eも、2023年末頃に英国では販売が始まる。駆動用バッテリーだけでの走行可能距離は最長127kmがうたわれ、こまめに充電していれば日常的にエンジンを回さず移動できるはず。

GLC 300 クーペの場合、0-100km/h加速は6.2秒。トランスミッションは、9速オートマティックが組まれる。

大きなボディでも走りは活発 乗り心地は硬め

実際に走らせてみよう。出だしは、アクセルペダルを傾けてから進み始めるまでの間に、僅かな躊躇がある。緩やかな傾斜では、ブレーキペダルを放してからほんの少し後退する場面もあった。

それ以降は、4気筒ターボエンジンが大きなボディを活発に動かす。9速ATはシームレスにギアを替え、変速を知覚できないほど。

メルセデス・ベンツGLC 300 4マティック・クーペ AMGライン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300 4マティック・クーペ AMGライン(欧州仕様)

見た目に合わせるため、スポーツサスペンションが標準装備。タイヤのサイドウォールが高めの19インチ・ホイールを履いていても、乗り心地は硬めに感じられた。アスファルトが酷く傷んだ状態を、シートを通じてドライバーへ伝える。

振動は、我慢を強いるほどではない。だが、エアサスペンションやアダプティブダンパーが組まれたライバルの方が、快適なことは事実ではある。

GLC クーペでも、オプションでエアサスは選べる。短時間試乗してみた限り、しなやかに路面の不整をいなしていた。ところが、ワゴンボディのGLCと同様に、英国仕様ではオプションでも選べないそうだ。

カーブの連続する道へ進むと、スポーツ・サスペンションの効果が表れる。1925kgと軽くないボディをしっかり支えつつ、安定したグリップ力を生み出す。

通常のGLCと同じく、ステアリングのレシオは可変式。ただし、スポーティな走りを意識して、クーペでは特性が変えられている。正確性が高いことに変わりはないが、切り始めでは軽く、そこから若干不自然に重みが増していくように思えた。

とはいえ、意欲的にカーブは縫える。ポルシェ・マカンほどではないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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