捕まる前に 電動キックボード、免許不要もナンバー/保険は「義務」 違法車体は排除方針

公開 : 2023.07.10 17:23

免許不要も違法車体/違法行為に厳しい罰則

販売業者の中には「6km/h以下なら歩行者扱いで歩道も走れて免許も不要」などと完全な違法状態の車体(主に海外製)を販売している悪質なケースも散見される。

もちろん「最高速度表示灯」など特定原付のための保安部品も無し。単に早歩き程度の速度を強調し、勝手に「歩行者扱い=歩道を走れる」としているに過ぎない。

こんな違法車体を買っても特定原付としてのナンバーはつけられないし、免許無しでは車道も歩道も乗ることもできない。

最も安全で安心できるのは国が指定する検査機関(公益財団法人日本自動車輸送技術協会 JATA)で保安基準適合性等が確認され認証シールが貼られた車体を購入することである。

2023年7月1日現在、一般販売される特定原付で認証シールが貼られるのはYADEA KS6PRO(長谷川工業)、ストリーモS01JT(ストリーモ)、Falcon P.E.V.Z9L-01(SWALLOW合同会社)の3機種のみだが、JATAに確認したところ現在審査中の車体もいくつかあるとのことなので今後まだまだ増えていきそうだ。

なお、国交省はこのような保安基準不適合の電動キックボードをあぶりだすために2023年4月1日から違法車体に関する通報窓口を設置し、広く情報を募っている。完全に匿名で違法車体の通報が可能だ。

違法車体に対して国交省は販売側に対しては行政指導をおこなっていくとしているが、購入して乗る側にも厳しい罰則があることに注意されたい。

違法車体の電動キックボードで公道を走行すると「整備不良」が成立する可能性もある。免許不要といっても16歳未満が運転したり、16歳未満に貸したり買い与えたりするのも禁止。駐車違反や2人乗りも禁止で自賠責切れ、飲酒運転(酒気帯び)や事故時の救護義務違反をすると最高100万円の罰金が科せられる。

「違法車体」販売防止 「製品安全誓約」

今回の道交法改正には警察庁だけではなく、経産省/国交省/消費者庁/総務省など様々な省庁が関わっており、関係省庁の連携も重要だ。

原動機がついてナンバーも自賠責保険も義務なのに免許は不要……さらに歩道も車道も走れてしまうというこれまでにない新たな乗り物を順法意識の低い人たちが乗る可能性が大きいのだから、事故やトラブルが多発することは容易に想像できるだろう。

もちろん、「売れればオッケー!」なコンプラ意識の低い販売業者も少なからず存在するので、厄介だ。

このような中、6月29日にスタートしたのが「違法車体」の販売を防止し、消費者保護を目的とした「製品安全誓約」なる制度である。

消費者庁と経産省が中心となり国土交通省も連携して、保安基準を満たしていない電動キックボード等の出品をオンラインマーケットプレイス上から削除する等の新たな取組みをおこなう。

製品安全誓約

リコール製品や安全ではない製品がもたらす、生命/身体に及ぼすリスクから消費者をこれまで以上に保護することを目的として、オンラインマーケットプレイスの運営事業者と関係省庁が協働。

1 リコール製品や安全基準等を定める法令に違反した製品の出品を削除する取組み

2 消費者からリコール製品や安全基準等を定める法令に違反した製品の出品が通知された場合の取組み

3 こうした取り組みを実施するための内部管理体制の構築等について取り決めたもの

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

おすすめ記事

 

人気記事