アウディ、中国企業数社と協議か 次世代EVにサードパーティ製プラットフォーム検討
公開 : 2023.07.12 06:25
アウディは、VWグループが開発中のSSPプラットフォームに遅れが生じていることから、サードパーティのEV用プラットフォームの導入を検討中であると言われています。中国企業含む数社と協議しているとのことです。
SSP開発の遅れ サードパーティとの提携検討?
アウディに近い情報筋によると、同社の取締役会が今週開かれ、サードパーティのEV用プラットフォームの権利購入を検討するという。
この動きは、アウディの親会社であるフォルクスワーゲン・グループが開発中の「スケーラブル・システムズ・プラットフォーム(SSP)」に遅れが出ていることを受けたものだ。
SSPは、800Vの電気アーキテクチャーと新世代のバッテリーパックに対応する予定だが、技術的な壁に阻まれ遅延が生じている。アウディは2026年以降の次世代EVにSSPを採用予定であったが、現在では早くても2029年以降になる見込みである。
SSPの導入が3年遅れたことで、フォルクスワーゲン・グループのEV計画「プロジェクト・トリニティ」も同じように影響を受けている。これはミドルサイズSUVから始まるEVラインナップで、さまざまなモデルが計画されている。
フォルクスワーゲン・グループの既存プラットフォームである「モジュラー・エレクトリック・ツールキット(MEB)」と「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」は、これらの次世代車には適さないと判断されたと、アウディの幹部はAUTOCARに明かした。
アウディが急成長する中国のEV市場での競争力を高めるために、サードパーティのプラットフォームを調達しようとしていることは、フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOのお墨付きを得たと言われている。
調達先企業については、まだベールに包まれている。しかし、アウディはすでに、プラットフォームを提供する数多くの中国系企業と交渉に入っているという。
その候補としては、ポールスター、Zeekr、スマート、ロータス、ボルボの各ブランドで採用されている「スケーラブル・エレクトリック・アーキテクチャー(SEA)」プラットフォームを持つ吉利汽車(ジーリー)や、吉利汽車と中国のIT企業である百度(バイドゥ)が運営するEVの合弁会社、集度(ジドゥ)などが挙げられるだろう。
吉利汽車は、スマート株を50%保有するなど、アウディのライバルであるメルセデス・ベンツと密接な関係を築いているが、SEAプラットフォームについては「オープンソースで、他の自動車メーカーへの供給にもオープンである」という方針をとっている。
委託製造のフォックスコンも可能性の1つとして考えられる。同社は独自のEV用プラットフォーム「モビリティ・イン・ハーモニー(MIH)」を開発している。また、最近FinDreamsと呼ばれるサードパーティのEV部品供給事業を設立したBYDも注目される。
アウディは現在、次期A6 eトロンやQ6 eトロンをはじめとするPPEベースのモデルを生産するため、中国の第一汽車(FAW)と提携して新工場を建設している。