日本の中古車が海外で人気上昇中のワケ 何万台もの「入念に整備されたクルマ」を輸入する英国

公開 : 2023.07.13 06:05

輸入業者「英国車よりはるかに状態が良い」

ニール・ハウ氏は、2016年から日本から欧州車を輸入している。英ブリストル近郊で販売店を営むウィンターストーク・モーター・カンパニー(Winterstoke Motor Company)などに供給するために、2、3か月に1度日本を訪れ、クルマを見たり、仕入れを担当するエージェントに会ったりしている。

「典型的な日本車は、英国車よりもはるかに状態が良く、走行距離も少ない」と彼は言う。「完全な整備履歴(デジタルであるため確認が容易)は低走行距離車でも一般的で、交換部品の多くはメインディーラーが取り付けた純正品です」

英国で日本からの輸入中古車を取り扱うハウ氏(左)とスワン氏
英国で日本からの輸入中古車を取り扱うハウ氏(左)とスワン氏    AUTOCAR

彼が輸入するクルマは、英国の自動車輸入組合(BIMTA)によって走行距離と来歴をチェックされている。20年前、英国への自動車輸入を増やすキャンペーンの一環として結成されたBIMTAは、今日では政府機関にも認められている。

BIMTAのチェックをクリアしたクルマには証明書が発行され、走行距離が正しいことが保証される。さらにハウ氏は、日本で発行されるが一部英語で書かれた輸出証明書を用意する。この輸出証明書では、車両のシャシー番号や車検証などの詳細と、ローンの借り入れが残ってないことが確認でき、整備記録またはデジタル整備記録のプリントアウトのいずれかが、やはり英語で書かれている。

輸入車は日本だけでなくEEA/UNの型式認証規則にも適合するように製造されているため、工場出荷時のライトなどは英国の道路交通法を満たしている。車載のシステムメニューで、オドメーターとスピードメーターをkm表示からマイル表示に変更できる。

必要な調整としては、通常、ナビゲーション・システムのアップデートに関するものがある。しかし、この点に関しては個体によって違いがあり、ボルボは特に難しいとハウ氏は言う。

英国の中古車不足が続き、超低排出ガスゾーン(ULEZ)非対応のクルマを手放す人が増える中、日本製の中古輸入車は、少ない予算内で購入できるファミリーカーとして1つの答えになるかもしれない。

日本からの輸入中古車の保険

日本から輸入された中古欧州車は、欧州の型式認証法を満たし、英国車と同じような仕様で、修理や部品調達も容易かもしれないが、保険料は割高のようである。例えば、日本から輸入されたフォルクスワーゲン・トゥーラン1.4 TSI SE DSGの保険料は312ポンド(約5万6000円)だが、英国仕様は276ポンド(約5万円)であった。

英国車より安価なものも 編集部が見つけた5台

フォルクスワーゲン・トゥーラン1.4 TSI SE DSG:2011年6月、走行距離7万km、8990ポンド(約160万円)/英国の同等車は少ないが、約1500ポンド(約27万円)安い。

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.4 TSI SE DSG:2012年12月、7万9600km、7995ポンド(約145万円)/英国の同等車より約500ポンド(約9万円)安い

日本から輸入した方が安く買えることもある。
日本から輸入した方が安く買えることもある。

BMW 116iスポーツ:2012年12月、7万km、8990ポンド(約160万円)/英国価格とほぼ同額。

アウディS4クワトロ:2010年10月、7万4000km、1万3995ポンド(約250万円)/これほど走行距離の少ない英国車はあまり見られない。

ボルボV70 2.5 RデザインSE :2009年5月、8万8500km、9990ポンド(約180万円)/ディーゼルよりULEZで有利な希少ガソリン仕様。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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