見た目が大幅変化 新型BMW 5シリーズ、6年ぶりフルモデルチェンジ 電動化へ

公開 : 2023.07.13 10:30

8代目となる新型BMW 5シリーズが発表/発売されました。内外装と展開グレードを見つめます。

電気が浸透した8代目の「5」

2023年5月26日に発表された新型のBMW 5シリーズ。その実車が本邦上陸を果たし、7月13日に販売が開始した。

既報の通り新型5シリーズの技術的な目玉となるのはパワートレインの電動化と最新のインターフェイスである。

BMW i5 M60 xドライブ。前後2モーター、最高出力601psで、価格は1548万円。
BMW i5 M60 xドライブ。前後2モーター、最高出力601psで、価格は1548万円。

今回導入される6モデルのうち半分が48Vのマイルドハイブリッド(MHEV)、残りの半分はBEV(電気自動車)となる。

今回お台場にあるBMW Tokyo Bayでアンベールされた新型5シリーズの実車はBEVのi5。プレスフォトでもおなじみのワインレッド系のボディカラーを纏っていた。そのスタイリングは、これまで写真で見ていたよりもいくぶん分厚いように思えた。

サイドシルやフロントリップといった車体の下縁をブラックアウトすることでボディ全体を薄く見せようという努力の跡が伺えるのである。

もちろんそれは床下にバッテリーを敷き詰めなければならないBEVと、すっきりした低めのボディを強調したいセダンの折衷点を追求した結果なのだと思われる。

それでも新型5シリーズの全高は先代に比べ36mmしか高くなっていない(1515mm)。それを考えれば「分厚くなった」というより「風格を増した」と表現すべきかもしれない。

もう1つ気になった造形はキドニーグリル周りだった。ダブルフェイス(上下2段のヘッドランプ)となった7シリーズとは違い、新型5シリーズの表情はコンサバな印象だが、黒塗りされたグリルはかなり複雑な形状をしている。なぜだろう?

センサー類の成果。自動駐車は200mまで可
フロントマスクの中央部分を埋め尽くす黒いグリル周りは、アイコニックグローと呼ばれるLEDランプが灯ると、いかにもBMWらしいすっきりした表情が現れる。だが黒塗りされた「顔」のパーツをよく見るとレーダーやセンサーが幅を利かせており、デザイナーの苦労の跡がうかがえた。

一方ボンネットの先端が長く伸び、まるで初代6シリーズのようにグリルが逆スラントしそうなくらい立ち上がった造形は、空力性能を少し犠牲にしてでもデザイナーが拘りたかった部分なのだという。電動化によってBMW培ってきた伝統が薄まることを避ける狙いがあるのかもしれない。

室内イメージの軸足 内燃機車に近く

室内の眺めも外観と同様で、イメージの軸足はこれまでのICE(内燃機)車にあるように感じた。センターコンソール上の極小のシフトノブやiドライブのダイヤルなど、BMWを乗り継いできたオーナーが違和感なく扱える設えになっている。

高性能カメラやセンサー類は現代BMWの特徴であるハンズオフ機能付きのADASのためだけにあるわけではない。新型5シリーズは7シリーズと同様に完全自動駐車が可能になる「パーキングアシスト・プロフェッショナル」を全車標準で装備している。

室内の眺めも外観と同様で、イメージの軸足はこれまでのICE(内燃機)車にあるように感じたと筆者。
室内の眺めも外観と同様で、イメージの軸足はこれまでのICE(内燃機)車にあるように感じたと筆者。

これは「自動駐車」という言葉から想像するよりカバレッジが広い機能で、自宅駐車場など事前に登録した最大200mまでの駐車操作をスマートフォンにより正確に操作できるという。

また新型5シリーズは車載カメラを利用した全方向に向けたドライブレコーダーも標準装備している点も新しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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