脱・炭素の最前線「屋久島」で、アウディが始めるBEVの活用 地元高校生が担う“未来の島づくり”もサポート
公開 : 2023.07.12 21:03 更新 : 2023.07.13 10:50
世界自然遺産の「屋久島」で、アウディがある取り組みを進めています。水力発電が大きな役割を持つこの島で、何が始まるのでしょう?
アウディの「ツアー」とは何か?
鹿児島県・屋久島で「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」が行われた。
いったい、どういう内容なのか? アウディはなぜ、こうしたツアーを行うのか?
そして、このツアーが日本全国のアウディユーザーや、これから初めてアウディに触れる、または以前に乗っていたが改めてアウディに触れようと考えている人たちにとって、どのような影響を与えるのだろうか?
順を追って見ていきたい。
最初に、ツアー実施の目的について。アウディ ジャパンは、次のように説明している。
「BEVシフトをはじめとするアウディのビジネス戦略を理解していただきながら、持続可能な社会の実現の重要性について、1人ひとりが考えるきっかけの場を提供します」
アウディといえば、2026年に欧州などアウディにとって主要な販売地域で導入する新型車はすべてBEVに移行することを明らかにしている。日本においては、市場動向を注視しながらBEVシフトを進める。
その上で、2033年にはグローバルでガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、内燃機関の生産は終了すると宣言している。
こうしたモデル戦略だけでなく、アウディは欧州での製造拠点でのゼロエミッションやカーボンニュートラルに向けた事業変革を進めているところだ。
なぜ、屋久島で実施するのか?
「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」はこれまで、2022年に岡山県真庭市(バイオマス発電)、および岩手県八幡平市(地熱発電)で実施された。
3回目となる今回は、水力発電がキーワードだ。
屋久島について、一般的には「日本で最初に世界自然遺産に登録された地」と有名観光地というイメージが強い。
島の周囲を黒潮が流れ、また島の中央部には九州最高峰の山がある原生林が島の皆さんの努力によって守られていることにある。
原生林には、観光スポットとして名高い「縄文杉」があるが、生態学においてこうした自然が豊富な理由は、年間8000mm~1万mmにまで及ぶ膨大な雨量にある。東京の4倍を超えるレベルだが、島の地層や形状によって水はけがよく、洪水に至ることは少ないという。
こうした多雨な自然環境をフル活用しているのが、水力発電だ。
しかも、その設備は地元企業の「屋久島電工」が有し、電気事業者が配電する体系としているのが特徴だ。屋久島電工の自社事業として約8割、そして約2割を屋久島町全域の電力として供給している。
台風などへの影響を考慮した小規模な火力発電を除くと、屋久島町で使う電力の99.6%が水力発電によるものだ。