9代目はヴァリアントのみ フォルクスワーゲン・パサート 試作車へ試乗 先代以上に良いクルマ

公開 : 2023.07.17 08:25

使える欧州車の定番といえるVWパサート。上質さを大幅に高めるという新型の試作車へ、英国編集部が試乗しました。

ティグアンとパワートレインなどを共有

最近の欧州車の話題といえば、バッテリーEV(BEV)のことばかり。だが、フォルクスワーゲンパサートのような内燃エンジン車が、世界的に見れば市場の中心にあることは間違いない。

フォルクスワーゲンは、パサートにサイズが近いBEV、ID.7の販売をまもなくスタートさせる。だが、従来のパサートが終了するわけではない。しっかり新世代が控えている。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ

この並行的なモデル展開は、ゴルフに対するID.3、ティグアンに対するID.4などと通じる。同社はBEVの開発に数10億ポンド(数1000億円)規模の予算を費やしており、これまで3000万台を売り上げてきたパサートには、資金獲得という重要な役目がある。

今回、筆者が招かれたのはドイツ北部、エーラレッシエンに位置するテストコース。2023年9月に予定される正式発表に先駆けて、周辺の一般道も交えて、新しいパサートのステアリングホイールを握らせていただいた。

1973年の初代(B1型)から数えて9世代目となる新型(B9型)は、今のところ欧州市場を中心に、ステーションワゴンのヴァリアントのみの販売が計画されている。生産は、スロバキアのブラチスラバに構える同社の工場で行われる。

プラットフォームは、フォルクスワーゲンのMQBエボ。3代目ティグアンと、プラグイン・ハイブリッドを含むパワートレインなどを共有する。ともに安定した販売数を稼いでおり、スケールメリットを活かした生産が可能となる。

ボディもインテリアも8代目から一新

試乗したプロトタイプのボディには、QRコードのような模様が一面に貼られていた。それでも、スタイリングが8代目から進化していることは、観察できるだろう。

大きな特徴といえるのが、ヘッドライトから水平に続くバー状のライトと、塞がれたスリムなフロントグリル。ラジエターやフロントブレーキの冷却は、バンパー側のグリルでまかなわれる。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ

ボディサイズは先代から拡大され、全長と全幅、全高は順に、4917mm、1852mm、1482mm。それぞれ144mmと20mm、7mm大きくなり、ホイールベースも50mm伸ばされ2841mmになる。BMW 3シリーズより、5シリーズへ大きさは接近した。

インテリアも一新。ボディの見た目より、変化の幅は大きいかもしれない。

ダッシュボード自体が新しく、ドライバーの正面には10.25インチのメーター用モニターを配置。中央には標準で12.9インチ、オプションで15.0インチの、タッチモニターが据えられる。

ステアリングホイールのスポーク部分には、近年採用されているタッチセンサー式ではなく、実際に押せるハードボタンが並ぶ。シフトレバーはなくなり、ID.7でも採用される、ステアリングコラムから飛び出たノブ状のコントローラーに置き換えられる。

シフトレバーのなくなったセンターコンソールは、カップホルダーを含めた収納機能を充実。スマートフォンの充電パッドも用意される。

ホイールベースの延長に伴い、後部座席の前後長は50mm拡大。荷室容量もトノカバー下で40L増え、690Lになる。リアシートを倒すと、1920Lの大空間が現れる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事