300ps以上の「手頃」なEVスポーツ 新型MGサイバースター 英国で一般公開

公開 : 2023.07.17 06:05

世界初の「手頃」なEVロードスターを謳うMGサイバースターが、ブランドの故郷英国で一般公開されました。2トン近い車重を持ちますが、最高出力543psのデュアルモーターモデルも発売される予定です。

MGの新世代スポーツカー

SAIC傘下の自動車ブランドであるMGは、7月13日に開幕した英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で、新型EVのサイバースターを一般公開した。

新型MGサイバースターは、1995年のMG F以来となる、八角形のMGバッジを冠したスポーツ・ロードスターである。最高出力313psの後輪駆動バージョンで5万5000ポンド前後(約1000万円)、最高出力543psの四輪駆動バージョンで6万5000ポンド(約1170万円)前後という2モデル構成で、既存の電動パフォーマンスカーを大きく下回る、世界初の「手頃」なEVロードスターになるとされている。

英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター
英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター    AUTOCAR

当初はMG TF(MG Fの発展型)の後継車として計画されたが、EVとして大型の駆動用バッテリーを搭載する必要があり、長いホイールベースが必要となった。ボディサイズは未公表だが、サイズ感は全長3.96mのTFよりも全長4.4mのBMW Z4に近いものとなっている。

メカニカルレイアウトについてはほとんど明らかになっていないが、車重はシングルモーター仕様で約1850kg、ツインモーター仕様では約1985kgになると見込まれる。

サイバースターは電動折りたたみ式ルーフを備えた2シーターのコンバーチブルで、ノーズにエンジンがないことも手伝って、広くゆったりとしたキャビンを持つ。「スケートボード」方式のプラットフォームにより、バッテリーはシャシーに組み込まれている。

ゲームにインスパイアされた内装

内外装デザインは、ロンドンの高級住宅地メリルボーンにあるMGのアドバンスト・デザインスタジオが担当した。高級感のあるインテリアと計器類は昨今のゲームトレンドから影響を受けており、スーパーカーのようなシザードアも特徴的だ。

アドバンスト・デザインスタジオの20人強のスタッフをまとめるデザイン責任者カール・ゴッサム氏は、サイズが大きくなったことを認めながらも、それをうまくまとめ、「新世代のスポーツカードライバーに向けた全く新しいタイプのロードスターを作り上げた」と述べている。

英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター
英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター    AUTOCAR

MG英国部門の営業責任者であるガイ・ピグナキス氏は、すでに購入希望者からの問い合わせが「殺到」していると述べ、MGの英国ディーラー(まもなく約150店に上る)も同様に熱意を示しているという。

サイバースターの主な役割は、販売台数を追うことではない、とピグナキス氏は主張する。しかし、英国では年間販売台数が2000台程度になることは「想像できる」という。

ピグナキス氏は、MGにとって成功の要因の1つに優れたコストパフォーマンスを挙げたが、ブランド認知も「重要」な要素だとしている。また、高齢の消費者からの反響は「まったく驚異的」であるという。「MGという名称が持つ興奮と期待感を覚えていて、それに大きな愛着を持っている、大規模で活発な購買層がいることは明らかです」

MGの英国販売はここ数年好調で、2022年には5万1000台以上を販売し、5年前の水準の5倍以上を記録。欧州全域における成長はさらに目を見張るものがあり、2019年の販売台数は1000台を下回ったが、2023年末には12万台に達すると予想されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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