300ps以上の「手頃」なEVスポーツ 新型MGサイバースター 英国で一般公開

公開 : 2023.07.17 06:05

エクステリアデザインは100%英国製

MGのデザイン責任者であるカール・ゴッサム氏は、1999年にコベントリー大学でデザインの訓練を受け、その10年後にMGに入社。内外装のデザインを担当した後、2017年に現職に就任し、2018年にメリルボーンのアドバンスト・デザインスタジオを立ち上げた。

AUTOCAR英国編集部はそんなゴッサム氏にインタビューを行い、サイバースターの開発経緯を訊いた。

英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター
英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたMGサイバースター    AUTOCAR

――サイバースターのプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?

「MGには新しいスポーツカーのアイデアが常に存在しており、わたしが入社してからは、それを推し進めることに全力を尽くしました。最初は、スカンクワークス(自主的な活動)のようなプロジェクトでしたが、2017年に現職に就任すると、それが最初の仕事の1つになりました」

「いろいろとアイデアはありましたが、EVコンバーチブルの企画が非常に適切だと感じられました。メリルボーンのスタジオに移り、プロジェクトが具体的になりました。そして、未来志向のコンバーチブル・コンセプトを上海に用意することで、それを実現したのです」

――プロジェクトの内容は? また、作業は英国で行われたのですか?

「このクルマは、会社の未来を表す意思表示です。曲線的で、温かみがあり、親しみやすいもの、それでいてブランドに合ったものでなければなりません。エクステリアは100%英国でデザインされましたが、インテリアとインストゥルメントに関しては多くが上海で行われました」

――デザインにあたって、あなたのチームはどれくらい自由度を得られたのでしょうか?

「かなり自由でした。トレンドを研究し、予測するということもわたし達の仕事に含まれますが、それなりにうまくいきました。MG4 EVは、英国でコンセプトを練り、上海のスタジオで最終決定し、成功を収めています。わたし達の仕事は、3~4年先のモデルを作ることです」

――EVのサイバースターは、過去のロードスターより明らかに大きくなりました。メリットとデメリットは?

「ポジティブな点は、コックピットスペースやペダルスペース、バッテリーが車体の低い位置にあることによる優れた重量配分など。一方、ネガティブな点はシート高(バッテリーの影響)です。また、ホイールベースが長く、サイズも大きい。しかし、サイバースターを見ると、あるいは運転すると、妥協は見られないと信じています。ホリスティックなデザインなのです」

――EV時代のデザイン責任者として、多くの変化に対応してきた経験をお聞かせください。

「物事が進むにつれて、答えのない問題を目にすることが多くなります。というのも、課題が非常にバラバラなんです。実に多くの変化がクルマの基本設計に影響を与えているにもかかわらず、偉大なブランドの遺産を尊重しなければならない。また、英国と中国とでは、まったく異なる顧客に向けてデザインすることになります。これらをすべてこなそうとすると、向上心を保つことができるのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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