「変速」再現した高性能EV 新型ヒョンデ・アイオニック5 N 次世代ホットハッチ誕生

公開 : 2023.07.14 20:05

最高出力650ps、0-100km/h加速3.4秒、800Vの電気アーキテクチャーを武器とするヒョンデの高性能EV「アイオニック5 N」が世界初公開。エンジン音や変速ショックを再現しています。

ヒョンデN部門初の高性能EV

ヒョンデは7月13日、英国で開幕したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023において「レーシングカーのDNA」を持つという高性能EV、新型アイオニック5 Nを発表した。

同社のパフォーマンスモデルを手掛けるN部門にとって、初の本格的なEVモデルとなる。標準のアイオニック5をベースに、パワートレインや内外装を大幅にアップデートしている。

英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N
英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N    AUTOCAR

ヒョンデのN部門の技術責任者、タイロン・ジョンソン氏によれば、アイオニック5 Nは「ドライビングの情熱を電動化」するものだという。標準モデルと同じE-GMPプラットフォームを使用しながらも、より大型の84kWhバッテリー、特注の四輪駆動パワートレイン、そして「ドライバーとクルマを融合させる」ための一連の技術的追加要素を備えている。

通常モードでは最高出力608ps、最大トルク75.3kg-mを発生するが、「Nグリン・ブースト」モードでは最高出力650ps、最大トルク78.4kg-mとなり、0-100km/h加速3.4秒を実現する。

航続距離はまだ公表されていないが、320kmから354kmと予想される。標準車の800Vアーキテクチャーが引き継がれ、10~80%の充電を18分で完了できる。

外観は標準モデルと大きく異なる。全長は80mm長く、全幅は50mm広い。フロントエプロンは、サーキットを意識したアグレッシブなデザインに変更され、フロントエンドにはブレーキ冷却用のアクティブ・エアフラップを備えた「Nマスク」が採用された。

欧州で鍛えたホットハッチの足

大規模なテストはドイツのニュルブルクリンク・サーキットで行われたが、ヒョンデはサスペンションとハンドリングを調整するために、英国の道路でも走らせたという。ジョンソン氏は次のように話している。

「英国の道路は、乗り心地とハンドリングをさらに強力な方向へと導くことができ、わたしの経験上、可能性の限界を押し広げることができるのです」

英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N
英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N    AUTOCAR

「クルマの質量が増加したため、ダンパーシステムの帯域幅を広げることに多くの注意を払いました」

アイオニック5 Nの車重は2000kgを超えると予想されている。

ブレーキは、サーキットで大きな力に耐えられるよう大幅に強化され、回生システムを油圧ブレーキと連動するよう適応させた。サーキットでは、制動力の40~50%が回生システムで処理されるのに対し、一般道では80~90%が回生システムで処理されるという。

「サーキットではブレーキが最も重要です。機械式システムと電気式システムの統合や熱管理には、膨大な労力が費やされました。わたし達は、他のEVとは異なる強力な方法で回生力を利用しており、それがクルマのダイナミクスに大きな影響を及ぼしています」とジョンソン氏。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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