ヒョンデ「アイオニック5 N」 なぜ、いま登場なのか? 1歩先行くBEVでの新たなる進化

公開 : 2023.07.15 18:45

韓国ヒョンデが発表した「アイオニック5 N」。なぜ、グッドウッド・フェスティバルで公開したのでしょう。高性能BEVのベンチマークになると言われています。

初公開の場 グッドウッドを選んだ理由

まさか、このタイミングで登場するとは!

韓国のヒョンデが高性能ブランド「N(エヌ)」に、BEVをラインナップしたのだ。

モータースポーツの祭典、グッドウッド・フェスティバ・オブ・スピード2023に登場したヒョンデの高性能BEV「アイオニック5 N」。写真は、ドリフトショー仕様。
モータースポーツの祭典、グッドウッド・フェスティバ・オブ・スピード2023に登場したヒョンデの高性能BEV「アイオニック5 N」。写真は、ドリフトショー仕様。    AUTOCAR

モデル名は、「アイオニック5 N」である。

しかも実車を世界初公開したのは、あのグッドウッドだ。英国ウェスト・サセックスで毎年恒例となった、新旧のスポーツカーやパフォーマンスカーが世界から集結する“夢のイベント”である。

ヒョンデとして、グッドウッドでBEV版「N」を公開した狙いには様々な背景があると思われる。

第一は、グローバルで進む急速なBEVシフトの中でも欧州での動きが急激なこと。英国はEU(欧州連合)から離脱したとはいえ、英国政府はEUと同じようなBEVシフトの方針を進めているところだ。

第二は、英国がヒョンデが戦う世界ラリー選手権(WRC)を筆頭とする、モータースポーツ産業の中核にあること。そうした背景があるからこそ、グッドウッドの存在意義があると言える。

そして第三に、グローバルでの本格的なBEVシフトの中で、OEMの正規ブランドとしてパフォーマンス系モデルが現時点でもほとんど登場していない中、ヒョンデが先手を打つという意気込みを示すのは、他社の動きを考えると“ギリギリのタイミング”だったのだとも考えられる。

「N(エヌ)」としての3つの柱とは

では、「アイオニック5 N」とはどんなモデルなのか?

それを理解するためには、そもそも「N」とは何かを知る必要があるだろう。

アイオニック5 N
アイオニック5 N    ヒョンデ

「N」は、ヒョンデのパフォーマンス系ブランドだ。

他ブランドでいえば、メルセデス・ベンツ「AMG」、BMW「M」、キャデラック「Vシリーズ」、トヨタ「GR」、日産「NISMO」、スバル「STI」といった分野に近い発想だ。

「N」は、今回登場した「アイオニック5 N」を含めて7モデルが量産されている。

「i20 N」「i30 N」「i30ファストバックN」「ヴェロスターN」「エラントラN」、そして「コナN」という7つだ。

これら各モデルのベース車の基本性能と欧米や他の仕向け地での市場環境を考慮した上で、モデル毎にチューニングの方向性は若干違うものと考えられる。

ただし、「N」と名乗るからには、各モデルとも共通とする“3つの柱”がある。

1つ目は、「Corner Rascal」。高いコーナーリング性能を示す表現だ。

2つ目は、「Everyday Sportscar」。乗り心地や取り回しで日常的に使うことができるスポーツカーであること。

そして3つ目が「Racetrack Capability」。サーキット走行に十分に対応できる基本性能を有していることである。

こうした「N」としての3つの柱、つまりは必須条件を「アイオニック5 N」ではどのように実現しているのだろうか?

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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