意外? 本気でカーボンニュートラルに取り組む闘牛 ランボルギーニ・サステナビリティ・デイズ(前編)
公開 : 2023.07.17 05:45
太陽光・余熱 使えるエネルギーは貪欲に
また本社工場から6kmの距離にある牛糞堆肥を利用したバイオマス発電の施設から配管を引き、発電の際の余熱を活かした温水システムを構築。
こちらも工場内を温める年間250万kWh分の電力(同社の使用電力の38%)エネルギーの節約、そして年間11400トンものCO2削減につながっている。
実際に我々プレスはドゥカティ製(ランボルギーニと同じアウディ傘下だ)のEバイク(電動アシスト付きマウンテンバイク)に乗って、本社工場から延々と続く畑の脇のあぜ道を通り温水が流れるパイプの経路を辿ったのである。
ランボルギーニのプロダクションカーは特徴的なエグゾーストノートやパワー、そして先進的なスタイリング等の刺激に満ちている。だがその生まれ故郷であるサンタアーガタは静かな田園風景が続いているというギャップが興味深かった。
彼らが根ざしている土地を目の当たりにすると、「環境に配慮した持続可能な自動車作り」という命題もまた当然のことのように思えてくるのだった。
最先端の“循環”によって生まれるウルス
地道にCO2削減を進め、人知れず地球環境にやさしい自動車メーカーとして変化を遂げていたランボルギーニ。
その本社工場は2015年の時点ですでにCO2ニュートラル・プラントとして世界で初めてDNV GL(ノルウェー・オスロに本拠を置く第三者認証機関)の認証を受けているという。
中でも2018年から始動しているクロスオーバーSUVモデル、ウルスのための工場は最新のランボルギーニを象徴する施設といえる。ペイントの95%は水性塗料であり、また塗装工程で発生する粉塵を回収する目的で使用される水の量も削減し、エネルギー量は以前に比べ25%も減少しているという。これは排水を処理するシステムの恩恵であり、工場からは排水が出ない仕組みも完成している。
工場を視察する我々の質問を先読みしているかのように彼らのアプローチは念入りだ。粉塵が混ざった水をろ過するフィルターに関しても、以前は使い捨てだったが、現在は製造元の会社に送って洗浄することで再利用できるようになっているのだそうだ。
自動車メーカーのサステナビリティ対策や電動化というと、その背景に“株主に対するアピール”の臭いが感じられることが少なくない。
だが実際に目の当たりにしたランボルギーニのスタンスは本気そのものだと感じられた。特にツアーの最後に訪ねたランボルギーニ・パークは、この先ずっと続いていく彼らの決意が感じられる場所だったのである(後編に続く)。