意外? 本気でカーボンニュートラルに取り組む闘牛 ランボルギーニ・サステナビリティ・デイズ(後編)

公開 : 2023.07.17 05:46

ランボ印のハチミツ、目的は別にある?

2011年からランボルギーニが所有し整備しているランボルギーニ・パークは本社のすぐ近くにある森のような一角。そこには1万本のオーク(楢の木)が植えられ、年間330トンのCO2を吸収している。

また森の中ではミツバチの巣箱が13箱置かれ、60万匹のミツバチたちが暮らしている。ここで採れるハチミツは年間500kgにもなる。

サンターガタ本社のそばに広がるランボルギーニ・パーク(右下)。その中に設置されているミツバチの巣箱も、環境保全の調査に役立っている。
サンターガタ本社のそばに広がるランボルギーニ・パーク(右下)。その中に設置されているミツバチの巣箱も、環境保全の調査に役立っている。    ランボルギーニ

だがランボルギーニは自分たちの工場や生産車から発生したCO2を、この小さな森だけで吸収できると考えているわけではもちろんない。またハチミツを売って儲けているわけでもない。彼らはボローニャ大学や専門家たちと協力して、自然環境を調査する目的でパークを活用しているのである。

楢の木は、最も効率よくCO2を固定するための植樹の間隔を調べる目的がある。一方ミツバチは巣箱への出入りをカウントすることで工場の周囲の空気汚染の状態を調べるために飼っているのだという。ここで集められたデータは、イタリアはもちろん、文字通り地球の環境を守るために活かされていくことになる。

2011年にスタートしたランボルギーニ・パークの試みは、今年で12年目。だがこれは終わりのない旅でもある。

ランボルギーニは内燃機関をモーターに置き換え、生産のためのフットプリント全体を見直すという事業計画の他に、自然環境を守るための地道なアクションを自ら率先して行っている稀有なスーパーカー・ブランドといえる。未来のスーパーカーは刺激的なだけでなく、クリーンでなければならない。彼らのカーボンニュートラルに対する取り組みには心底驚かされることが多かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

ランボルギーニ創業60周年の前後関係

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