本気出せば爆発的な加速力 メルセデスAMG EQE 53 SUVへ試乗 敏捷性は極めて高い

公開 : 2023.07.29 08:25

686psと101.8kg-mを発揮し、同社SUVとして歴代最速のダッシュ力を備えたEQE 53 SUV。英国編集部が一般道で評価しました。

オプション・パッケージで686psと101.8kg-m

電動の大型SUVとして、BMW iX M60やアウディSQ8 eトロンをライバルにする、メルセデスAMG EQE 53 SUV。通常のメルセデス・ベンツEQE 350 SUVのパワートレインを強化し採用する、AMG EQE 43 SUVの遥か上を行く高性能SUVだ。

EQE 53 SUVに搭載される2基の駆動用モーターは、このモデルのための専用開発品。AMG独自仕様となる、電圧400Vのシステムと組み合わされている。

メルセデスAMG EQE 53 SUV(欧州仕様)
メルセデスAMG EQE 53 SUV(欧州仕様)

駆動用バッテリーの容量は、90.6kWh。リチウムイオンで、急速充電能力は最大で170kWまで対応する。その結果として得られる、システム総合での最高出力は625ps。最大トルクは96.7kg-mもある。

もしこれでご不満という場合は、オプションでAMGダイナミックプラス・パッケージを指定可能。そうすれば、試乗車のように686psと101.8kg-mへ増強できる。

高効率化にも気が配られており、低負荷での走行時はフロント側の駆動用モーターがタイヤから切り離され、機械的な抵抗を抑える。また、電動サルーンのAMG EQS 53やAMG EQE 53と同様に、消費電力の少ないヒートポンプ式エアコンも採用する。

車重は2615kgと軽くないものの、パワーにまったく不足はない。5種類用意されたどのドライブモードを選んでも、圧巻のたくましさを披露する。

アクセルペダルを深く傾けた反応は爆発的

スポーツプラス・モードを選択しない限り、本気の686psを引き出すことはできないが、その場合の0-100km/h加速時間は3.5秒。なお、同クラスに属する内燃エンジンモデル、612psのメルセデスAMG GLE 63 Sでは、その加速に3.9秒を要する。

電気モーターは回転直後から最大トルクを発揮できるため、アクセルペダルを深く傾けた時のレスポンスは、まさに爆発的。しかもツインモーターのエネルギーを、知的な四輪駆動システムがもれなく路面へ伝える。

メルセデスAMG EQE 53 SUV(欧州仕様)
メルセデスAMG EQE 53 SUV(欧州仕様)

ブレーキペダルの感触も好印象。新開発のブースターと、フロントが415mm、リアが378mmという大きなスチール製ディスクのおかげで、反応も素晴らしい。オプションで、フロント側は440mmのカーボンセラミックへアップグレードも可能だ。

回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール奥のパドルで3段階から調整できる。運動エネルギーの回収量は、最大で260kWに達するとか。航続距離は、21インチ・アルミホイールで470kmがうたわれる。

AMGサウンド・エクスペリエンスと呼ばれる人工サウンドシステムが実装され、走行中は聴覚的にも体験を拡張可能。ご希望なら、5シーターの宇宙船に乗っているような、テクノチックなサウンドも選べる。

コンフォート・モードへ切り替えれば、市街地を運転しやすい穏やかな性格へ変化。滑らかで洗練されたフィーリングで、高級SUVへ思い描いた通りの、ラグジュアリーでリラックスした移動を叶えてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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