BMW M2 詳細データテスト 文句なしの速さ 落ち着きの増したハンドリング 快適さも大きく進歩

公開 : 2023.07.22 20:25  更新 : 2023.08.11 20:55

先代より大きく、重くなったM2は、俊敏さがやや目減りしたものの、完成度は大きく向上。パフォーマンスも快適性も、むしろ格上モデルに近づきました。しかも3ペダルも選べるとなれば、Mモデルのベストな1台になりえます。

はじめに

BMWは、コンパクトなMモデルに対する態度をコロコロ変えてきた。その方向性を決めたのは、BMW初の市販ターボカーである2002ターボで、その誕生は1973年。BMWモータースポーツ設立の1年後だ。

しかし、2002ターボは短命だった。その後、Mモデルの中心はより大型のモデルとなる。1990年代にZ3ベースのMロードスターが登場するまで、M3より小さくてMのバッジをつけるモデルは用意されなかった。

テスト車:BMW M2クーペ・マニュアル
テスト車:BMW M2クーペ・マニュアル    JOHN BRADSHAW

2011年には、1シリーズ・クーペに直6ターボを詰め込んだ、カルト的なモデルの1シリーズMクーペがデビュー。2016年にはその後継的存在であるM2が投入され、商業的に成功を収めた。

そして2023年。2代目M2クーペが発売された。先代がマークした、Mモデル最多販売台数を更新する存在になることが期待される、Mの末っ子だ。

ミュンヘンが1シリーズ・ハッチバックを、経営的な判断から前輪駆動プラットフォームへ移行してから、2シリーズクーペは3シリーズの短縮版シャシーを得て生き残っており、その点についてはM2も同様だ。1Mや先代M2よりやや大きくパワフルになり、言うなればM2.5くらいのイメージだ。

かつてのMディビジョンの首脳陣は、このクラスのモデルを余興程度に考えていたかもしれないが、いまやもっと重要な位置を占めるようになったM2。その完成度やいかに。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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