BMW M2 詳細データテスト 文句なしの速さ 落ち着きの増したハンドリング 快適さも大きく進歩

公開 : 2023.07.22 20:25  更新 : 2023.08.11 20:55

内装 ★★★★★★★☆☆☆

Mレーストラックパッケージは、9095ポンド(約166万円)と高価なオプションだが、キャビンにはカーボンシェルの軽量バケットシートが装備される。ここ数年の最新Mモデルは、多くが採用しているアイテムだ。テスト車の、タンク容量の4分の3まで燃料を入れて1687kgという重量にも寄与している。

とはいえこのシート、M2のエルゴノミクスを悪化させる原因でもある。最近のMモデルには見られないような問題だ。このM2は、英国では唯一MTを選べるMモデルであり、それを選ぶユーザーは多いはずだが、明確なペダルオフセットがあるのだ。

2ペダル前提で設計されたフットウェルに、3ペダルを配置するのには苦労したのだろう。自然に操作できるレイアウトにはなっていない。
2ペダル前提で設計されたフットウェルに、3ペダルを配置するのには苦労したのだろう。自然に操作できるレイアウトにはなっていない。    JOHN BRADSHAW

BMWが、2ペダル前提のフットウェルへ3ペダルを詰め込むのに苦労したのは明らかだ。少なくとも右ハンドル仕様車でそれを可能にするには、クラッチを運転席の正面に配置し、スロットルとブレーキは多少オフセットさせるしかなかった。

そして、カーボンバケットシートは低く、左肘をセンタートンネルのシフトチェンジしやすい位置に乗せるのが難しいほど。さらに、座面のサポート部が大きく突き出しているので、ペダルを適切に操作するには、右足首への負担が大きくなる。

ありがたいことに、そのアグレッシブな見た目のバケットシートは、その操作面の問題を除けば驚くほど快適だ。そしてM2のキャビンは、Cセグメントの水準に照らすと実用性はかなり高い。後席への乗り降りはややトリッキーで、サイズはせいぜい子ども用だが、荷物置き場には最適で、フォールドしてトランクルームを拡大することもできる。

操縦系と計器類のレイアウトや質感は、このクルマにふさわしいものだ。Mモデルの主要な要素はすべて揃っている。M1/M2ボタンやデジタルメーター、サテンクロームとカーボンの装飾に加え、ドアパネルにはMのイメージカラーである3色に光るイルミネーションまで備わっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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