ゴルフRに勝る加速力 MGモーター MG4 Xパワーへ試乗 ツインモーターで435ps獲得
公開 : 2023.07.31 08:25
強められた安全志向 好ましいサスペンション
四輪駆動システムによって、通常のMG4が持っていたオーバーステア傾向の挙動は鎮められた。腕利きのドライバーにとって、運転を楽しめる特徴の1つになっていたものの、多くの一般的なユーザーには安全志向の方が好まれるとは思う。
トルクベクタリング機能の制御は巧妙。ホイールスピンを最小限に留めつつ、カーブ内側のブレーキを操り、鋭い回頭性を引き出している。MG4が本来備える、優れたシャシーバランスは維持されている。
スタビリティ・コントロールをオフにすると、リアよりフロントタイヤの方が先にスピンし出す。コーナーからの意欲的な脱出時には、充分な状況の判断が必要だ。
サスペンションは好ましい。新体制になって以降も、MGモーターは英国の技術者チームを存続させてきた。セットアップには、多くの経験が活かされている。
ベーシックなMG4が備える、乗り心地の落ち着きと軽快な操縦性、姿勢制御との兼ね合いは、彼らの成果といえた。MG4 Xパワーでも、その強みは残されている。優れた減衰力特性も変わらない。スプリングレートが高まったことで、若干硬さが出ているが。
チューニングされたという、ステアリングラックのフィーリングに大きな違いはない。スポーツ・モード時は、少し重み付けが増したように感じられる。必要性は別として、サスペンションと同様にスポーティな雰囲気を生み出すことに貢献している。
同時にエクステンデッドレンジも登場
インテリアは、素材を除いて基本的にそのまま。空間は広々としていて実用的。ドライビングポジションも好ましい。華奢な印象のドアパネルも残されている。専用スポーツシートの設定があっても良いだろう。
Xパワーの追加に伴い、MG4全体でも小さな改良を受けている。リアワイパーが標準装備になり、リアシートの中央にもヘッドレストが用意された。
さらに駆動用バッテリーの容量が77kWhへ増え、最高出力が244psへ増強された、シングルモーター仕様のエクステンデッドレンジもリリースされた。航続距離は最大519kmまで伸びつつ、英国価格はXパワーと変わらない。
インフォテインメント・システムに含まれていたバグも、解消されたようだ。扱いやすいシステムではないものの、1度慣れてしまえば不満なく付き合えるはず。
アクセルペダルの加減だけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブ・モードも選択できるようになった。ただし、回生ブレーキが立ち上がるまでに若干のラグがある。ブレーキペダルを踏んだ方が、速度調整はしやすいかもしれない。
BEVだから、馬力が増えると航続距離は短くなる。WLTP値で384kmがうたわれる。ちなみに、標準のMG4では最大434km走れる。
電費効率は、試乗時の平均で4.8km/kWh程度。運転スタイルで、エネルギー効率は大きく変わるようだった。現実的な航続距離は、310km前後だと考えていい。