ストリートレーサー的な加速 カプリ RS 3100 高性能フォード:欧州での60年(2)

公開 : 2023.07.29 07:06

ストリートレーサーの様相で鋭く加速する

エンジンには、1970年代に提供された、フォード純正のトリプル・キャブレター・コンバージョンキットが組まれている。当時のオーナーによってシリンダーヘッドとカムシャフトも交換され、最高出力は238psまで高められている。

車重はオリジナルで1144kgだから、パワーにまったく不足はない。キャビンには4点ハーネスが追加されているものの、それ以外の車内の景色はノーマルのカプリと変わらない。ビニール張りのバケットシートも、新車時のままだ。

フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)
フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)

ドライバーの正面には大きなメーターが2枚並ぶ。レブカウンターは7000rpmまで振られ、スピードメーターと好ましい対をなす。ステアリングホイールは、肉厚な2スポーク。モータースポーツ感は薄い。

キーをひねると、通常のカプリとは違うことを再確認。排気量を増したV6エセックス・ユニットのサウンドは、ドライで音程が低く、オールドスクールな響きに聞こえる。

パワーバルジが与えられた長いボンネット越しに前方を確かめ、アクセルペアルを蹴飛ばす。RS 3100は、ストリートレーサーの様相で鋭く加速し始める。

中回転域でのトルクが太く、レッドラインまで引っ張る必要はない。幅が235もあるタイヤは、不満ないグリップを生み出す。シフトレバーはロングストロークながら正確に動き、漸進的に効くブレーキも強力。予想より扱いやすい。

落ち着いた操縦特性と余裕のある動力性能

タイトコーナーへ突っ込むと、ステアリングが数少ない弱点だと知る。ステアリングホイールは驚くほど重く、ラック&ピニオン式のラックは路面の感触を殆ど伝えない。

それでも、ベルギー・スパ・フランコルシャンのサーキット走行会で、高速コーナーをハイスピードで巡るなら、落ち着いた操縦特性と余裕のある動力性能が真価を発揮するはず。今回のカート用サーキットでは、少々手に余ったことは事実だ。

フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)
フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)

フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)のスペック

英国価格:2500ポンド(新車時)/6万ポンド(約1080万円)以下(現在)
販売台数:247台
全長:4280mm
全幅:1646mm
全高:1288mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:8.0秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1144kg
パワートレイン:V型6気筒3091cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5300rpm
最大トルク:25.8g-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェイソン・フォン

    Jayson Fong

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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