マクラーレン、EVより収益性を優先 製品拡大は「2028年以降」とCEO 組織再編に注力
公開 : 2023.07.20 06:25
マクラーレンの優先課題は組織の再編成と収益性の確保(黒字化)であり、EVなどのモデルレンジ拡大は2028年以降になるとのこと。マイケル・ライターズCEOへのインタビューで明らかになりました。
企業再編が最優先 EVは2028年以降か
マクラーレンは、中核となるミドエンジン・スーパーカー以外のモデルレンジ拡大を検討しているが、それは2028年以降になる。
AUTOCARの取材に応じたマクラーレンのマイケル・ライターズCEOは、かねてから噂されているクロスオーバーモデルの計画がどのように進んでいるのかという質問に対し、当面の優先事項は会社の再編と資本増強を完了させることだと語った。
「収益性の面で正しい道を歩んでいるのであれば、全セグメントにまたがる拡大について考えるでしょう。わたし達はそれを『シェアード・パフォーマンス』と呼んでいます。シェアード・パフォーマンスとは、2枚以上のドアや2つ以上のシートを持つすべてのものを指します」
「これは後で考えることです。これについては決定していません。わたし達にとってビジネスチャンスであることは間違いありませんが、近い将来に実現するとは思っていません。わたしが言ったこと、つまり資本増強と黒字化、それに(クルマの)開発期間を考慮すれば、2028年より前にはならないでしょう」
ライターズ氏はマクラーレンのCEOに就任して1年余り、社内組織の再編成に多くの時間を費やしてきた。現在の焦点は、「このビジョンとビジネスプランに賛同する」既存株主とともに、マクラーレンが黒字化するための「資金調達と再編成のための資本増強」にある。
この一連の作業が終わるまでの間、売上と収益性にとって「2023年は困難な年」になるだろう。なぜなら、組織再編や財務強化と並行して、ライターズ氏はマクラーレン車の品質向上に取り組んでおり、英国のウォーキング工場はフル稼働していない。
当面の主力製品はアルトゥーラと750S
ライターズ氏は、ハイブリッド・スーパーカーのアルトゥーラの生産能力がまだフルに達していないと述べ、このことが米国での発売を含め、納車の遅れの原因となっていることを認めた。 しかし、これは重要なことで、「アルトゥーラは素晴らしいクルマであり、要求される品質に達していない車両を納車することでイメージを損ないたくない」のだという。「わたし達はまだ、組織とサプライチェーンを『強固』にしなければなりません」
アルトゥーラは現在までに約500台が納車されている。
720Sの後継者となる新型750Sは現在、生産に向けた立ち上げ段階にあり、今年末には納車開始が予定されている。750Sはすでに2024年末までの生産分が完売している。
ライターズ氏によると、シリンダー数(アルトゥーラはV6、750SはV8)とテクノロジー(前者はハイブリッド、後者は純粋なICE)の両面で明確な位置づけと違いがあるため、マクラーレンのモデルレンジの中でこの2台は従来よりもはるかにうまく調和するという。
アルトゥーラと750Sは、2028年のモデルレンジ拡大計画までマクラーレンの中核となるモデルである。ライターズ氏は、必ずしも販売台数ではなく、価格設定と「より多くのスペシャル」によって、マクラーレンはスーパーカー市場でまだ成長できると考えている。
パワートレインの電動化については、同社のラインナップと将来の計画には3つの柱があるという。すなわち、純粋な内燃エンジンモデル、ハイブリッド、そしてEVである。ライターズ氏は、アルトゥーラと750Sがすでに2つの柱に位置し、5年後にはハイブリッドがマクラーレンの販売台数の90%を占めるようになると予想していると述べた。
EVについては、「2000kgの重量で2000psのパワーを持つクルマは誰にでもできるのでやりたくない」とし、その代わりにEVを発売するのであれば「重量的には750Sに匹敵する」必要があると述べた。「わたし達はそのコンセプトについて取り組んでおり、本当にエキサイティングなアイデアがあります。もしそれが実現すれば、ICEでできることを上回るものになるはずです」