2+2の四輪駆動へ一新 次期 メルセデスAMG GTへ同乗 V8ツインターボは継続 585psか?

公開 : 2023.07.24 08:25

新しいAMG SLをベースとする、次期AMG GTの助手席へ英国編集部が同乗。期待の仕上がりをひと足先に味見しました。

メルセデスAMG SLとベースを共有するGT

近年のメルセデスAMGの優勢を象徴するモデルといえるのが、2ドアのGTだろう。先代のSLS AMGの後継として現行型は2014年に発売されたが、ポルシェ911 ターボなど定評ある高性能モデルへの仲間入りを、見事に果たした。

最近のメルセデスAMGはプラグイン・ハイブリッド化を進めているものの、まだGTはフロントにV8エンジンを積む、従来的なアイデンティティへ忠実。ロングノーズ・ショートデッキの、クラシカルなプロポーションも支持を集める特長になってきた。

次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)
次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)

一方、次世代のC192型は、2022年に発売されたR232型メルセデスAMG SLとベースを共有することが明らかになっている。先代よりボディは拡大し、車重が増える可能性は否定できない。走りのシリアス度も、薄まってしまうことは想定できる。

欧州の排出ガス規制は厳しくなる一方。穏やかなグランドツアラーへ世代交代するのでは、と心配する人もいるようだ。

そんな不安や疑問を晴らすべく、筆者はメルセデスAMGの新CEOへ就任した、ミヒャエル・シーベ氏との約束を取り付けた。次期型のプロトタイプへ乗りながら、質問させていただく機会を得た。

助手席へ座るなり、「尋ねられる前にお答えしますと、わたしたちはクーペのみを作る予定です。ラインナップのなかで、ロードスターの役割を担うSLとDNAを共有することは、まったく恥じることではないと考えます」。とシーベが口にする。

SLと同じく2+2 V8ツインターボは継続

SLと次期GTは、アルミニウムとスチール、マグネシウム、コンポジット素材を適材適所に用いた、軽量なモジュラー・スポーツ・アーキテクチャを共有する。軽量なスペースフレーム構造のプラットフォームだ。

シーベによれば、SLより更にボディ剛性が高まるという。固定ルーフを備え、エンジンルームには補強が施されるため、予想通りの結果だと話す。

次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)
次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)

ボディサイズは正式に発表されていないものの、全長はSLの4705mmへ接近すると予想できる。この数字は、現行型から155mmほど長い。ホイールベースも、200mm増しの2700mm前後になる。

インテリアは、基本的にSLのものが展開される。+2のリアシートと、大きな荷室も獲得する見込み。

「お客様からのフィードバックは、パフォーマンスを維持しつつ、日常的な条件で乗りやすいクルマへして欲しいという内容でした。GTを、週末の旅行以外に利用される方もいらっしゃるのです」

ドライブトレインも進化する。だが、4.0L V8ツインターボ・エンジンが搭載されることに変更はない。ユーロ7基準の排出ガス規制に合致する、環境性能が与えられるそうだ。

「最初から計画されているわけではありませんが、電動化も軌道へ載せる準備は充分に整っています。規制の枠組みが、必要性を迫るなら」。と、シーベが付け加える。

現行型では11種類まで仕様が展開したGTだが、次期型も多様な選択肢が用意されるのだろうか。「様子見ですね。既にSLでは43と55、63をご提供しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事