オフローダーの進化に感動 ランドローバー・レンジローバー ネカフ・ジープ 質実か贅沢か 後編
公開 : 2023.07.29 09:46
極めて能力の幅が広いレンジローバー
急斜面の登りは、2台とも手を焼いていた。ジープは、タイヤの古いパターンが原因。ブロックが大きく、表面が磨かれたような岩では充分なトラクションを得にくいのだ。ぬかるんだ路面では、機能するのだが。
レンジローバーは、サスペンション・ストロークが少し足りていなかった。車高を一番持ち上げた状態にしても、起伏でタイヤの1本が路面から浮くことがある。63.0kg-mの最大トルクを持っていても、4本のタイヤへ有効には展開できない。
もっとも、今回は極端な条件だったといえる。現代の高級オフローダーは、極めて能力の幅が広いということは明らかだった。ドアのないM38A1と乗り比べれば、当たり前かもしれないが、それでもレンジローバーの有能ぶりには深く感心する。
ロサンゼルスの繁華街からドバイ郊外の砂漠まで、全世界の富裕層を快適に移動させることを目的に生み出されている。1台のレンジローバーでそれをこなせることに、驚かずにはいられない。
番外編:オフロードのプロとの差は歴然
サーキットを高速で走ることが得意なドライバーがいるように、オフロードに長けたドライバーもいる。これまでの経験と技術で、筆者のような凡人が手を焼く悪路へ、巧みに対処できる人がいる。
今回お呼びしたオフロード・コンサルタントのクリス・パット氏は、ランドローバー・ディフェンダー 110で撮影をサポートしてくれた。彼は、殆どスタックさせる様子がなかった。
レンジローバーが滑りやすい岩混じりの急斜面で苦労している横で、パットは優しくパワーを調整。グリップのギリギリのところを見極め、ディフェンダーをコントロールしてみせた。
彼は、観察と判断が重要だと話す。岩の表面の変化や凹凸を見極め、サスペンションへ掛かる負担を減らし、トラクションを僅かでも高められる場所を選ぶのだという。
危険な状況での、瞬間的な判断力にも感心させられた。複数の課題を同時に処理できる、精神的な余裕も持ち合わせていた。ディフェンダーに、高い信頼を抱いていることも印象的だった。走る速度域が低くても、筆者との差は歴然といえた。
新旧オフローダー 2台のスペック
ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
価格:13万4865ポンド(約2427万円)
全長:5052mm
全幅:1990mm
全高:1870mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:114.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2695kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:440ps(システム総合)
最大トルク:63.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
ネカフ・ジープ M38A1(1955年式/欧州仕様)
英国価格:約5000ポンド(約90万円/現在)
全長:3380mm
全幅:1570mm
全高:1570mm
最高速度:72km/h(予想)
0-100km/h加速:−秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1210kg
パワートレイン:直列4気筒2195cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:73ps
最大トルク:15.7kg-m
ギアボックス:3速マニュアル(四輪駆動)