海外「転売ヤー」に賛否両論 新車より高く売れる人気SUV プレミアは正当か

公開 : 2023.07.24 06:05

ほぼ新車(中古車)のSUVが、オークションサイトなどで新車より高値で取引されている英国。これを問題視するメーカーは「転売ヤー」に対し購入制限をかけていますが、転売を擁護する意見も数多く聞かれます。

ほぼ新車のSUV、新車より高く売れる

英国の新興自動車メーカー、イネオス・オートモーティブ(化学大手イネオス傘下)が発売した大型SUVのグレナディアの「転売」が問題視され、一部の新車購入者に転売制限が課せられている。しかし、転売して利益を得ることは必ずしも不健全な行為ではないという見方もある。

英国に住むエリック・マクドナルドさんは2022年8月に新車のグレナディア3.0dフィールドマスターを注文したが、まだ納車を待っている。

オークションサイトでは、走行距離の少ないグレナディアが新車価格より高い金額で落札されている。
オークションサイトでは、走行距離の少ないグレナディアが新車価格より高い金額で落札されている。    AUTOCAR

「当初は2月に生産されると聞いていましたが、5月になり、その後6月からと言われました。さらに延期になると思いますが、他の待っている人たちと同じように、心配はしていません」

一方、独立系ディーラーやオンライン・オークションで、ほぼ新車のグレナディアを高値で購入する人たちがいるというニュースもある。

最近、オンライン・オークション会社のCollecting Carsで落札された1台は、マクドナルドさんの車両と同じくディーゼルのフィールドマスターで、走行距離はわずか103kmだった。2023年登録で、7万3000ポンド(約1330万円)で落札された。

「わたしは6万4000ポンド(約1170万円)と、その他諸費用としてもう少し支払いました」とマクドナルドさん。

「11月、イネオスは価格を7万ポンド(約1275万円)に引き上げました。7万3000ポンド(約1330万円)を支払うことで、そのフィールドマスターを落札した人は納車待ちの時間を短縮できただけだと思いますが、わたしはイネオスの価格が現実的なものであるとわかって安心しました」

その点、マクドナルドさんの住むスコティッシュ・ボーダーズからそう遠くないところにある独立系ディーラーでは、2023年式ディーゼルのフィールドマスター(走行距離320km)を7万7995ポンド(約1420万円)で広告に出している。

オプション装備などを考慮しても、その価格は現在の新車価格より5000ポンド(約90万円)ほど高い。発売当初の値上がり前と比較すると、少なくとも1万ポンド(約180万円)は高いことになる。

その独立系ディーラーに話を聞くと、「地元のイネオス・ディーラーは、新車の納期を1年2か月と見積もっています。(当店は)この行列を飛び越えるために無理を強いているとは思いません」という返答があった。

「当店ではグレナディアを2台販売しました。1台目は48時間、2台目は1週間で売れました。大きなプレミアを要求できるという意味では、過剰なものではありません。グレナディアを買う人は真面目で、ほとんどは仕事に使います。ファッションではないので、お金をばらまいたりしないんです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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