海外「転売ヤー」に賛否両論 新車より高く売れる人気SUV プレミアは正当か
公開 : 2023.07.24 06:05
転売は需要があるから成立する?
二次流通市場(セカンダリー・マーケット)と呼ばれるもの、また、需要のある新車を購入してすぐに売って利益を得る「フリッピング」と呼ばれる短期転売に対して、自動車メーカーは複雑な思いを抱いている。
すでに新車販売で利益を上げているメーカーにとっては喜ばしいかもしれないが、イメージや評判を守らなければならないメーカーにとっては不満だろう。イネオスは後者の立場だ。
イネオスの広報担当者は次のように述べている。
「代理店や顧客との契約には、企業であれ個人であれ、注文や販売に関する明確な条項があります。当社の代理店パートナーは、グレナディアを転売する意図が明らかな買い手の注文を数多くキャンセルしてきました」
「車両が引き渡され、その後売りに出された場合、わたし達にできることは少ないのですが、当社はすでに転売した多くの買い手に将来的な制限を課しています」
オンライン・オークション会社Collecting Carsの広報担当者は、二次流通市場における同社の役割と、グレナディアをはじめとする同社が売却した車両のオークションについて、次のようにコメントした。
「オークションは素早く売買する良い方法であり、価格はその日のクルマの価値を反映します。最近の販売実績を見れば、グレナディアを求める市場があることがわかるはずです。過剰なものではなく、当社の販売では現実的な価格であることが示されています。これは、人々に購入する自信を与えてくれます」
クラシファイドセールスも行っているオンライン・オークションサイト、Car & Classicは、二次流通市場は一部の人々にとって生命線になりうると主張している。Car & Classicのトム・ウッドCEOは、次のように語った。
「売却を考えている人たちは、必ずしも手っ取り早く利益を得ようとしているとは限りません。ここ数年で経済状況が変わり、安全で信頼できる現金調達手段を必要としている人がたくさんいます。わたし達は、ニーズを持つ2者を結びつける手助けをしているのです」
車両データ会社Bregoの共同設立者であるサイモン・ハント氏は、二次流通市場は健在だとした上で、「フェラーリやポルシェの特定のモデルは、引き続きプレミアムがついています」と言う。
「例えば、フェラーリ296 GTBの新車価格はオプション装着前で約24万5000ポンド(約4460万円)ですが、登録車は35万ポンド(約6380万円)で売りに出されています」
「しかし、二次流通市場は需要主導型であるため、潜在的にはどのブランドでも利益を得られる可能性があります。一時期、納車の遅れが原因となって、ランドローバーの一部モデルの価格が高騰したこともありました」