家族で使えるファミリー向けEV 10選 日常生活に無理なく溶け込む1台

公開 : 2023.07.29 18:05

メインのファミリーカーとして日常的に使い倒せるEVはあるのか。家族を快適に運ぶクルマとして、実用的な航続距離、広い室内空間を備えたモデルを10台ピックアップしました。

家族で使い倒すEV

世界的に見るとEVの普及は少しずつ進行しており、ファミリーカーとしての選択肢も増えてきた。多くのドライバーがICE(内燃エンジン)車やハイブリッド車からの乗り換えを進める中、最も人気があるのは、ゆったりとしたサイズの何でもこなせるクルマだ。

ファミリー層向けのEVは、実用性を損なうことなく、できるだけ航続距離を伸ばすことが求められる。EV技術のコストは下がりつつあるが、最も恩恵を受けるのはこうしたファミリーカーだ。さらに生産台数が多いため、メーカーも積極的な価格設定が容易となる。

ファミリーカーとして使えるEVを10台取り上げる。
ファミリーカーとして使えるEVを10台取り上げる。

現在の市販EVには、これまでファミリーカーとして慣れ親しんできたミニバンやステーションワゴンなどのボディタイプよりも、SUVタイプのモデルが多く見られる。最近では背の高いSUVやクロスオーバーに人気が集まっており、メーカーとしても分厚いバッテリーパックを床下に隠すことができるため有利と言える。とはいえ、ハッチバック、ステーションワゴン、そして3ボックス・セダンなど、意外にもバラエティは豊富だ。

公共の充電ネットワークは、EVの普及が進む欧州でも十分とは言い切れないが、そこそこの長距離ドライブを計画できるような航続距離を持つモデルも揃ってきた。実際、自宅で充電できる環境があれば、公共の充電施設に立ち寄る頻度・必要性をかなり減らせるだろう。

また、EVならではの野蛮な加速性能については耳にタコができるほどによく言われてきたが、最近のメーカーはドライビングの魅力というものを注入し始めている。これはおそらく、運転が好きなわたし達のような人間にとっては、かなり重要なことだろう。

そこで今回は、ファミリーカーとして使い倒せるEVを10台紹介したい。いずれも英国基準で取り上げているが、10台中7台は日本でも正規購入できる。クルマ探し、あるいは業界動向の把握において少しでも参考になれば幸いだ。

1. ヒョンデアイオニック5

韓国のヒョンデとキアがこの記事の上位にランクインしているのは、自動車業界の目まぐるしい変化と、消費者が古い固定観念を捨てようとしていることの表れだ。どちらかというと慎重な日米欧のブランドとは異なり、韓国勢は電動化を全面的に受け入れており、その成果がアイオニック5に明白に見て取れる。

EV専用プラットフォームをベースに構築されたアイオニック5は、超急速充電を可能にするパワフルな800Vアーキテクチャを備えている。現在、これと同程度のアーキテクチャは、ポルシェタイカンアウディeトロンGT、そしてヒョンデの兄弟ブランドであるキアでしか見られない。少し乱暴な例えだが、フォードが初代フォーカスに現代のポルシェ911ターボのツインターボ・フラット6を搭載するようなもの……。まぁ、そんな感じだ。

1. ヒョンデ・アイオニック5
1. ヒョンデ・アイオニック5

とはいえ、アイオニック5はテクノロジーばかりが特徴ではない。その独特のレトロフューチャー・デザイン(ランチア・デルタを宇宙時代に再構築したような造形)とモダンで上質なインテリアで注目を集めているのだ。

その大きさと重さにもかかわらず、ドライビングは驚くほど魅力的で、たくましいパフォーマンス、適度なグリップ、そしてスパイスとなる調整機能を備えている。また、リラックスできる素敵なクルーザーでもあり、騒音の抑制もよく、乗り心地も快適で、EVとしては実に説得力のあるラグジュアリーなオーラを放っている。優れたパッケージングにより、後部座席のスペースは十分すぎるほど広く、トランクの使い勝手は良好だ。

後輪駆動のロングレンジ仕様は、AUTOCARによる最近のグループテストでスコダ・エンヤクiV(次項で紹介)を僅差で引き離し、魅力ある走りと大胆なデザインで記者を魅了した。いずれにせよ、77kWhの大型バッテリーとシングルモーターの組み合わせが、ペース、価格、スタミナのベストコンビネーションを実現する。

参考までに、英国向けのラインナップを紹介する。最高出力170ps、航続距離386kmの後輪駆動モデルで4万3445ポンド(約790万円)から始まり、最高出力325psのツインモーター、四輪駆動モデルの5万7945ポンド(約1050万円)までとなっている。為替を考慮しても、日本仕様よりかなり高額に感じられる。

なお、今年後半には最高出力650psの高性能モデル、アイオニック5 Nが英国のショールームに並ぶ予定だ。AUTOCARはすでにプレプロダクションモデルに試乗した。ヒョンデのN部門初のEVがどんな走りを見せるのか、試乗記もチェックしてほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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