10. BYDアット3

BYDとは「Build Your Dreams」の頭文字をとったもの。中国の自動車メーカーがかかげるこうしたスローガンは、皮肉屋な欧州の顧客にはうまく伝わっていないかもしれないが、この最新モデルの真面目な意図を疑う余地はない。

アット3は、BYDの欧州攻勢の第1弾であり、荒削りな部分もあるが、既存モデルに代わる選択肢として十分検討できる。BYD最新の「eプラットフォーム3.0」という洒落た名前のアーキテクチャをベースに作られており、バッテリー、モーター、半導体はすべて自社製だ。サイズとしては、キア・ニロとフォルクスワーゲンID.4の中間に位置する。

10. BYDアット3
10. BYDアット3

パワートレインは、最高出力204psのモーターと60.5kWhのバッテリーを採用し、1回の充電で420kmの航続距離を謳う。アット3は快適で落ち着いた走りを見せるが、ペダルを踏み込んでタンゴを楽しむようなクルマではない。とはいえ、平凡なファミリーカーとして考えれば、ほとんどの顧客は面白さよりも気軽さを選ぶだろう。

興味深いのはインテリアで、差し障りのないエクステリアとは対照的にファンキーな印象を与える。回転式15.6インチ・インフォテインメント・スクリーン(オプション)を備えた大胆なダッシュボードなど、数々の風変わりなデザインディテールは、無愛想なライバルを凌駕している。そして、4万ポンド(約720万円)を下回る価格も魅力だ。夢に見るようなクルマではないかもしれないが、有能で手間のかからないファミリーハックとして、一見の価値がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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