ターボGTの魅力を拡張 ポルシェ・カイエン・クーペ プラグインHVの試作車へ試乗 700馬力超

公開 : 2023.08.04 08:25  更新 : 2023.09.01 18:49

ターボGTに次ぐパワフルさを誇る、プラグイン・ハイブリッドが完成間近。英国編集部が試作車で仕上がりを確かめました。

700馬力以上のプラグインHVが登場

ポルシェ911 GT3に迫ろうかというSUV、ポルシェカイエン・ターボGTは素晴らしい仕上がりにあるが、矛盾もはらんでいる。車重は2.2tもありながら、すこぶる速いものの、運転が心底楽しいとまではいえなかった。

2018年に販売が始まった3代目カイエンは、フェイスリフトが迫っている。ターボGTの生産は継続されるものの、排気ガス規制の強化に伴い、欧州市場では販売されなくなるという。手に入らないとわかると、正直惜しい。

ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ
ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ

そのかわり、プラグイン・ハイブリッドを強化した、新しいカイエンが提供される。グレード名は明らかになっていないものの、少なくとも最高出力が700馬力以上で、最大トルクが91.6kg-m以上だということは判明している。つまり、かなり強力だ。

間もなくモデルチェンジされる、3代目パナメーラにも搭載予定のハイブリッド・システムには、176psの駆動用モーターと25.9kWhの駆動用バッテリーが採用されることもわかっている。これらは、現行のカイエン E-ハイブリッドと同じものとなる。

主な動力源になるのは、ツインターボで過給される4.0L V8ガソリンエンジンの最新版。従来のツインスクロール・ターボの代わりに、電動ウエストゲート付きのモノスクロール・ターボが組まれるそうだ。

ポルシェのプラグイン・ハイブリッドとしては、最も強力な存在になる。しかも、一度の充電で走れる距離は44km以上がうたわれる。748psと101.8kg-mを繰り出す、BMW XM ラベルレッドが直接的なライバルになる。

加速力はターボGTと同等 最高速度300km/h超?

今回、筆者は2023年9月に予定されているミュンヘン・モーターショー(IAAモビリティ2023)での発表に先駆けて、フェイスリフト版カイエン・クーペのプラグイン・ハイブリッドへ試乗させていただいた。果たして、その動力性能には驚かされるばかりだった。

パワートレインは極めて力強く、発進加速も中間加速も圧倒されるほど鋭い。駆動用モーターがアシストするV8ツインターボエンジンは、リニアに反応するだけでなく、極めて粘り強い。余裕の走りに、幸福感が湧いてくる。

ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ
ポルシェ・カイエン・クーペ・プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ

トルクコンバーター式の8速ATが低いギアを選んでいる時は、まさに迅速。高めのギアに入っている時は、優しくアクセルペダルを傾けているだけで、安楽に高速巡航をこなす。

ドライブモードを積極的なものへ切り替えれば、チタン製のエグゾーストから低く唸るような咆哮が放たれる。トルクを自在に前後へ分配する四輪駆動システムが、確実に路面を蹴り続ける。

0-100km/h加速時間は、4.0秒を大幅に切るという。最高速度は290km/h超が予想されている。ポルシェだから、かなり控えめに算出した数字だろう。

関係者の情報では、加速力は従来のターボGTと同等で、オプションとなるGTパッケージを実装すれば、0-100km/h加速は3秒台前半に収まるとか。最高速度も300km/hに届くらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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