アウディ・スポーツ「RSは単なるグレードではない」 高性能EVにも際立った個性追求

公開 : 2023.07.24 18:05

アウディの高性能車「RS」を手掛ける部門トップは、次世代EVで「エンジン音」や独自のパワーデリバリー、専用のエクステリアデザインなどを駆使して際立った個性を追求していくと語りました。

アウディが追求する高性能EVの姿とは

アウディの高性能車部門であるアウディ・スポーツは、RS3からRS7に至るまで、従来の内燃エンジン車の後継としてEVを続々導入し、2020年代末までに100%電動化されたラインナップを揃える予定だ。

フォルクスワーゲン・グループCEOのオリバー・ブルーメ氏によると、アウディは今後数年間、「RSブランドにさらに重点を置く」という。現在のRS eトロンGTのように、標準モデルにスポーティな性能とスタイリングを追加していく方針だ。

アウディは「RS」が単なるモデルグレードにならないよう、差別化に尽力するという。(画像は予想レンダリングCG)
アウディは「RS」が単なるモデルグレードにならないよう、差別化に尽力するという。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

さらにアウディは、「RS」が単なるモデルグレードにならないよう徹底する。アウディ・スポーツのマネージングディレクターであるセバスチャン・グラムス氏は、eトロンGTの人気(3台に1台がRS)を挙げ、「世界は変化しており、わたし達のターゲットポートフォリオも変化しています」と語る。

「わたし達はまた、成長しつつある新しいターゲットグループにも焦点を当てなければなりません。したがって、電動化とハイパフォーマンスは本当に、本当に相性が良いと確信しています」

次期A6 eトロンとQ6 eトロンのRSモデルを筆頭に、A3、A4、A6、A7の後継車にも独自のスタイルと強力なパフォーマンスを持つスポーティモデルが登場する見込みだ。

アウディはA7の計画を公式には明かしていないが、チーフデザイナーのマルク・リヒテ氏は、最近公開されたアクティブスフィア・コンセプトを「A7を高くしたようなもの」と表現し、2027年頃に市販化が実現する可能性を示唆した。

デザイン、サウンド、パワーデリバリー

アウディ・スポーツは現在、「RSモデルにエクステリアデザインの観点からどのように特別な個性を与えるか」に取り組んでいるとグラムス氏は語る。

「標準モデルとRSモデルには差別化が必要だと考えています。これは、EVの世界におけるUSP(商品が持つ独自の強み)、つまり特徴的なDNAになるでしょう」

アウディ・アクティブスフィア・コンセプトは「A7の背を高くしたもの」とも表現される。
アウディ・アクティブスフィア・コンセプトは「A7の背を高くしたもの」とも表現される。    アウディ

「根っからのエンジン・ガイ」を自称するグラムス氏は、高性能EVに対するビジョンとして、デザインや装備だけでなく、移動中のフィーリングやサウンドにおいても、標準的なアウディ車との明白な差別化がRSラインナップの特徴であり続ける、としている。

「電動化によって、特別なドライビング・モードを見つけ、パワートレインに特別なサウンドを作り出すことができる。これはRS eトロンGTでもお見せした通りです」

「サウンドエンジニアにRSモデル特有のサウンドを作ってもらいました。これらは、クルマや技術に持ち込まなければならない新しい特許です」

グラムス氏は、RS EVに合成された直列5気筒やV8のエンジンサウンドを導入するかどうかについては明言を避けたが、RS eトロンGTでは、強化されたパフォーマンスを示すために加速時に特注の「エンジン音」を発している。

さらに音だけでなく、トルクカーブやパワーデリバリーを調整範囲もRS EVにとって重要な要素であり、「電動パワートレインをデザインし、内燃エンジン車よりも優れた特別な特性を与えることも可能」だという。

グラムス氏は「これはRS eトロンGTからも学んだことで、フィードバックは本当に素晴らしいものです」とし、電動パワートレインは「エンジニアにとってより良い遊び場」だと言う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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