アルピナD4Sグランクーペに試乗 「改善すべきところが思い浮かばない」は本当か?

公開 : 2023.07.24 19:05  更新 : 2023.07.25 19:58

AWDだけれど、リア偏重という個性

道幅が広めのワインディングを走りながら、D4Sグランクーペを堪能する。速度が高まるほどに、スロットルとリアタイヤが強く結ばれていくような感覚になる。コーナーの立ち上がりでは730Nmという強烈なトルクと極太のリアタイヤで路面を蹴り出していく感じ。例えが適切ではないかもしれないが、少しだけポルシェ911っぽい? と思ってしまった。

現在のアルピナは以前のようにAWDモデルをALLRAD(アルラット)と呼んでいないが、D4Sの駆動系はAWDだ。電制のセンターデフによる前後の駆動配分もアルピナが入念にチューンしている部分であり、当然のようにリア寄りになっているはず。

英国編集部が下した「改善すべきところが思い浮かばない」という評価は本当だろう。
英国編集部が下した「改善すべきところが思い浮かばない」という評価は本当だろう。

だがそもそも前255に対し後285という大胆なタイヤのサイズ設定(M440iは前245、後255)とリアデフに仕込まれたLSDの存在がD4Sの「リア偏重」のキャラクターを決定づけていると思う。

ウエットのアウトバーンを飛ばしていくような場合にAWDは不可欠な装備といえる。だが積極的なスロットルオンで楽しむワインディングでフロントタイヤが安定方向に出しゃばるような真似はしないというわけだ。

ディーゼルの長所を伸ばしつつ一切のネガが払しょくされたD4Sグランクーペのドライブフィールは非常に新鮮。英国編集部が下した「改善すべきところが思い浮かばない」という評価は本当だろう。

だがD4Sグランクーペのメカニカルな部分は基本的にはD3Sリムジンと同じなので、最終的な評価はカスタマーの好みに委ねられることになるはずだ。

アルピナD4Sグランクーペのスペック

価格:1280万円
全長:4790mm
全幅:1850mm
全高:1440mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:-km/L
CO2排出量:-g/km
車両重量:1970kg
パワートレイン:直列6気筒2992ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:355ps/4000-4200rpm
最大トルク:74.4kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

アルピナD4Sグランクーペ
アルピナD4Sグランクーペ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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