ブガッティのデザイン責任者、アヒム・アンスハイト氏退任発表 世界最速記録に貢献

公開 : 2023.07.24 18:45

シロン、ヴェイロン、ミストラルなどブガッティの超高級ハイパーカーを手掛けてきたアヒム・アンスハイト氏が、デザイン責任者を退任することになりました。19年間にわたってブランドを「視覚」の側面から支えた人物です。

デザイン責任者、ニューモデル発表を前に退任

ブガッティは、デザイン責任者であるアヒム・アンスハイト氏の退任を発表した。アンスハイト氏は19年間同社に在籍し、ヴェイロン・スーパースポーツ、シロン、そして来年公開予定の新型車のデザインを統括してきた。

ポルシェフォルクスワーゲンでのさまざまな職務を経て、2004年にブガッティのデザインディレクターに就任したアンスハイト氏。彼の後任には、以前シロンの開発に携わっていたフランク・ハイル氏が就く。アンスハイト氏は今後、ブガッティ・リマック社のCEOであるマテ・リマック氏のシニアアドバイザーとなる。

ブガッティに19年在籍し、デザインに携わってきたアヒム・アンスハイト氏
ブガッティに19年在籍し、デザインに携わってきたアヒム・アンスハイト氏    ブガッティ

アンスハイト氏は「プロポーション、知覚、持続性」という独自のデザイン哲学を基に、ヴェイロン、ヴェイロン・スーパースポーツ、シロン、チェントディエチ、ディーヴォ、ミストラル、ガリビエ(コンセプト)、そして2024年に発表されるハイブリッド・パワートレイン搭載の新型車のデザインを担当した。

シロンの後継車であり、ブガッティの新たなフラッグシップモデルとなる新型車のデザインについて、彼は次のように語った。

「ヴェイロン、シロン、そしてシロンの後継車には、1つの共通点があります。公道向けのレーシングカーではありません。グランツーリスモ(grand-tourisme)開発の最高峰なのです。軽快なタイプ35、ラグジュアリーなタイプ41ロワイヤル、そして比類なきエレガンスを持つタイプ57SCアトランティークが魅力的にミックスされているのです」

アンスハイト氏はAUTOCARのインタビューで、タイプ57に由来する馬蹄形のフロントグリルや「ブガッティ・ライン」と呼ばれるセンターラインなど、クルマをあたかも「高級時計」のように見せることができる視覚的な特徴を強調した。

また、自身のキャリアを振り返り、「この素晴らしいブガッティの発展の旅に参加できたことに一生感謝します。エットーレとジャン(・ブガッティ氏)が誇りに思うような場所へとブランドを進化させるために、ブランドとデザイン部門を支えてくれたすべての人々に心から感謝しています」と付け加えた。

20年近いキャリアの中で、アンスハイト氏の優先課題の1つは、「紛れもなくブガッティとわかる」クルマを作ることだった。AUTOCARのインタビューで、彼はこう語っている。「形は性能に従うという哲学に従えば、デザインについて最もよく説明できます。200万ポンドから400万ポンド以上の価格セグメントになると、ただラインを上下させればいいという問題ではありません。そのブランドを真に識別するもの、つまり、そのブランドだけを識別する視覚的な手がかりが必要なのです」

ブガッティのクリストフ・ピオション社長は、アンスハイト氏について次のように述べている。

「W16エンジンを中心に、世界最高速度を記録できるクルマを作るには、空力とアクティブなハンドリングのバランスを取ることが必要です。アヒム(・アンスハイト氏)は、これらすべての要求に対して非常に自然な技術的理解を持っており、必要性から美を作り上げることができます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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