新型EVで一層の攻勢 ヒョンデ・コナ・エレクトリックへ試乗 48.4kWhで航続376km

公開 : 2023.08.09 08:25

広くなった車内 適度に心地良く安楽

ドアを開いて車内へ入ると、明らかにひと回り広くなったことがわかる。乗員空間にも荷室にも余裕が生まれ、実用性は増したといえる。ファミリー・ユーザーにとってはうれしい変化だろう。

シフトセレクターは、センターコンソールからステアリングコラムへ移動。フロントシート間の収納は増やされ、内装の品質は明らかに向上した。

ヒョンデ・コナ・エレクトリック・スタンダードレンジ(欧州仕様)
ヒョンデコナ・エレクトリック・スタンダードレンジ(欧州仕様)

シンプルなダッシュボード上には、12.3インチのモニターが2面並ぶ。運転席の正面がメーター用で、助手席側がインフォテインメント用となる。エアコンなどには、実際に押せるハードボタンが用意されている点は好ましい。

運転席からの視界は良好。ドライビングポジションに不自然なところはなく、長時間でも快適に過ごせそうだ。

試乗車は最終的な量産仕様ではなかったものの、実際に運転してみた印象は、適度に心地良く安楽といったもの。発進加速はバッテリーEVらしく強力ながら、中間加速の勢いは穏やかといっていい。

ステアリングホイールの重み付けは一貫性に優れ、反応は予想しやすい。だが、夢中になるような一体感までは得られていない。乗り心地は、ある程度速度域が高まると落ち着きが増していく。傷んだ路面を通過しても、大きく乱れることはなかった。

スタンダードレンジも魅力的な選択肢

回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏のパドルで調整可能。アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブ・モードにも対応している。エネルギー効率を高めるのにも役立つはず。

ドライブモードには複数の設定があるが、スポーツ・モードを選択しても、ホットハッチのように変化するわけではない。もっとも、コナ・エレクトリックの主な購買層が、スリリングな走りを望んでいるとは考えにくいから、これで構わないだろう。

ヒョンデ・コナ・エレクトリック・スタンダードレンジ(欧州仕様)
ヒョンデ・コナ・エレクトリック・スタンダードレンジ(欧州仕様)

実用的なオールラウンダーとして、2代目コナ・エレクトリックの完成度は高そうだ。実際のユーザーの多くはロングレンジを選ぶと予想されるが、スタンダードレンジも日常的な自動車利用を充分カバーできる、魅力的な選択肢だといっていい。

なお、フロントマスクに用意された充電ポートのカバーには、ヒーターが内蔵されている。真冬でも凍り付いて開けにくい、ということはなくなったそうだ。

ヒョンデ・コナ・エレクトリック・スタンダードレンジ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万4995ポンド(約630万円)
全長:4355mm
全幅:1825mm
全高:1575mm
最高速度:162km/h
0-100km/h加速:8.8秒
航続距離:376km
電費:7.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1615kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:48.4kWh
急速充電能力:102.3kW(DC)
最高出力:156ps
最大トルク:25.9kg-m
ギアボックス:シングルスピード(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事