夢を現実に 今ならまだ買える? 「フェラーリ348」バイヤーズガイド

公開 : 2023.07.28 12:15

348は今いくら

フェラーリがクルマを総合的に演出する考えが生まれる以前に送り出され、きまじめに作られた最後のモデルが348だった。そのため後継モデルのF355のような扱いやすさや、スポーツカーらしい排気音が無いため乗る者への訴求力が弱く、本来より低い評価が与えられてしまった。

日本でもF355の高騰が始まる前なら、348は400万円台から存在していた。安い車両は多走行で値段相応の状態だったが、とりあえず現実的な額でフェラーリを手にできた。現在はフェラーリ全般の高騰の影響から、中古車情報サイトで見ると800万円をボトムに、上は1300万円(ASKを除く)だった。しかし荒れた状態の348もまだ存在するので注意したい。

スパイダーに続きtb/tsのマイナーチェンジ版としてF119H型エンジンを積むGTBとGTSが送り出された。ボディ同色のスカートが識別点。
スパイダーに続きtb/tsのマイナーチェンジ版としてF119H型エンジンを積むGTBとGTSが送り出された。ボディ同色のスカートが識別点。    フェラーリ

最終型で人気のあるGTB/GTSは生産台数が少ないため、流通数は少ない。値段は当然ながらtb/tsの極上車より高くなる。348は年次改良箇所が多いため、年式の新しいものを選ぶのが正解。予算が許せば、各部に改良が施された完成形といえるGTB/GTSがベストチョイスだ。

スパイダーは、8気筒ミドシップ初のフルオープンモデルのため、新車時から大事に扱われてきた個体が多い。エレガントなスタイルから現在も人気が高く、タマ数が少ないため1300万円からとなる。

348に限らずフェラーリを購入する際は、定期的なメンテナンスが必要なため、様々なノウハウを持つ専門店に任せるのが正解。整備工場に力を入れているショップなら、車両のクオリティは間違いないといえる。

整備はそれなりの費用が必要

フェラーリ 348を購入し、実際に維持していく上で気になるのがメンテナンス費用だ。特にヨーロッパ車は安心して乗るためには定期的な整備と部品交換が必要になる。それはフェラーリも同様で、コンディションを保つためには348でも相応の維持費が必要なことを認識しておきたい。348は基本的には丈夫なクルマといえるが、生産から30年以上が経過しているため、各部に相応の痛みは出てくる。定期的に整備されていれば心配はいらないが、乗りっぱなしや長年眠っていたような個体は、購入後に多額の費用が嵩むことが考えられるので、購入時は整備記録簿の有無を確認したい。

お約束のタイミングベルトの推奨交換時期は3年または5万kmと指定されている。タイミングベルトがエンジンの前側にあるため、交換にはエンジンを下ろす必要がある。正規ディーラーで作業するとテンショナー・ベアリング交換も含めて約100万円が必要だ。フェラーリを得意とする整備工場なら、ディーラーより数割安く作業できるケースもある。エンジンを降さないと作業ができないカムシャフトのエンドシールやウォーターポンプ、ホース類は、予防整備として同時に交換すれば個別に作業するより費用を節約できるだろう。

スパイダーから搭載された320HPを発揮するF119H型エンジン。続いてGTBとGTSにも積まれた。
スパイダーから搭載された320HPを発揮するF119H型エンジン。続いてGTBとGTSにも積まれた。    フェラーリ

定期的に交換が必要なエンジン・オイルは、ドライサンプということもあり11リッターも入る。純正指定オイルのシェル・ヒリックスと、オイルフィルター、ドレンガスケットと工賃を合わせて正規ディーラーでは7万円弱が必要になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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