ミツビシekスペース カスタムT(2WD)
公開 : 2014.03.26 18:44 更新 : 2019.03.12 11:04
今回主に試乗したのは、大きなメッキグリルを備えたカスタムのターボモデル。上も前も驚くほど広い運転席は、スーパートールワゴンに慣れていない僕のような人にはちょっと落ち着かないほどだ。このクラスの標準的な装備となった、インパネに備わるセレクターレバーをDレンジに入れて走りだす。すると、思わず「おおっ」と声を出してしまうほどのトルクを感じる。
あらためてスペックを見ると、ターボモデルは最大トルクの10.0kgmを3000rpmで発揮している。ギヤレシオの低い軽自動車の場合は、街中で走っているようなときでも3000rpmを超えることなどしょっちゅうだから、このトルク感は頼もしい。もちろん街中だけでなく高速道路を巡航しているようなときでも、eKスペースのターボモデルは少し右足に力を込めるだけで、追い越しも合流も思いのままだ。
そして外観から想像どおりなのが室内空間の広さならば、まったく想定外なのがハンドリングだろう。全高の高いスーパートールワゴンはロールも大きく、コーナーのたびに体が揺られて……というのはすでに前世代の話。最新世代の背が高い軽自動車は、ハイスピードでコーナーを走るときでも、乗員にロールを感じさせることなくタイヤは路面を掴み続ける。残念ながら自然吸気のモデルにはほとんど試乗することができなかったが、少なくともターボを選んでいるかぎり、動力性能に物足りなさは感じられない。
一方で物足りないのは、やはり燃費性能と安全装備だ。ターボモデルにはアイドリングストップ機構が備わらず、JC08モード燃費は22.2km/ℓに留まる。ライバル車種は26.0km/ℓの世界でしのぎを削っているだけに、やはり見劣りする感は否めない。そして今や当たり前の装備になりつつある、赤外線などを使用する衝突防止自動ブレーキ機構も備わらないのは、実際に軽自動車を購入しているオーナー層から考えるに致命的な弱点といえるだろう。
軽自動車規格という大きなワクで囲まれているからこそ、横並びのなかで各社は独自の機構を与えて商品力を向上させてきた。eKスペースは室内空間の広さとターボモデルの動力性能という武器があるだけに、これからますます必需品としての意識が強まるだろう前述の2点に関しては改善を行わないと、日進月歩の軽自動車の世界では生き残れないのでは……という心配をしてしまう。
(文・佐橋健太郎 写真・花村英典)
ミツビシekスペース カスタムT(2WD)
車両価格 | 165.9万円 |
0-100km/h | na |
最高速度 | na |
燃費(JC08モード) | 22.2km/ℓ |
CO₂排出量 | 105g/km |
車両重量 | 950kg |
エンジン形式 | 直3DOHCターボ, 659cc |
エンジン配置 | フロント横置き |
駆動方式 | 前輪駆動 |
エンジン最高出力 | 64ps/6000rpm |
エンジン最大トルク | 10.0kg-m/3000rpm |
圧縮比 | 9.0:1 |
変速機 | CVT |
馬力荷重比 | 67.4ps/t |
比出力 | 97.1ps/ℓ |
全長 | 3395mm |
全幅 | 1475mm |
全高 | 1775mm |
ホイールベース | 2430mm |
燃料タンク容量 | 30ℓ |
荷室容量 | na |
サスペンション | (前)マクファーソン・ストラット |
(後)トルクアーム式3リンク | |
ブレーキ | (前)Vディスク |
(後)ドラム | |
タイヤ | 165/55R15 |