ルノー「華美なデザインは終わる」 クルマづくりの本質 シンプルな軽量設計を追求

公開 : 2023.07.31 06:25

華美な装飾を排し、シンプルかつ軽量な素材を使って魅力的なクルマを形作る。これが今後の自動車メーカーに求められることだと、ルノーのデザイン責任者は語ります。

今よりずっとシンプルでなければならない

自動車メーカーはミニマリズムを目指す世界的なトレンドを受け入れ、シンプルで軽い素材を少量のみ使用し、より魅力的なクルマを作る機会を探らなければならない。

これは、ルノーのデザイン責任者であるジル・ヴィダル氏の見解だ。同氏は最近、SUVの新型ラファールを発表した際に、本質的なデザインへのシフトを強調した。

新型ルノー・ラファールとジル・ヴィダル氏
新型ルノー・ラファールとジル・ヴィダル氏

「わたしは、華美を抑えた時代の到来だと信じています。デザイナーにとっての課題は、力強く印象的でありながら、今日よりもずっとシンプルなブランドを形作ることでしょう。当社はまだ印象的なクルマを作りたいと思っていますが、よりミニマルで本質的なデザインにしたいのです」

ヴィダル氏は、テクノロジーの進歩が、特に照明の分野においてデザイナーに新たなチャンスをもたらしていると述べた。ラファールのフロントヘッドライトは、ルノーのロゴを分割したような形をしている。また、パノラミック・サンルーフには、ボタン1つで調光できる4段階の透明度調整機能が用意されている。

「まだ答えにたどり着いたとは言えませんが、個性的でありながらミニマルであるために何ができるかという課題を設定しています」とヴィダル氏は言う。

「今日、本当にミニマルなデザインをしていると言える人がいるかどうかはわかりません。対照的に、非常に冒険的で、1つのデザイン哲学にこだわらないブランドもあります。うまくいけばそれでいいのですが、まとまりのあるミニマリズムは、エキサイティングなものにするのが最も難しいのです」

ヴィダル氏はまた、ミニマルデザインが自動車の効率や動力性能、特にインテリアにもたらすメリットについても言及した。

「クルマが大きくなったのは周知の通りですが、それは安全のためでもあります。消費者はより多くのコンテンツや装備などを求めているため、クルマは重くなり、ブレーキも大きくしなければならないなど……これは悪循環です。現代の環境では、ある種の好循環を生み出そうとすることが必要なのです」

ヴィダル氏によると、航空業界で使われる軽量で薄いシート構造が研究対象の1つになっているようだ。

「もちろん安全でなければなりませんが、シートバックの厚さを半分にすることができれば、足元やトランクルームが広くなり、クルマを短く、軽くすることができる。実用的で効率的なドライブが始まるのです」

「簡単なことではありませんが、あらゆる角度から効率性を追求する必要があります。個性的なミニマリズムは、ワクワクしながら見ることができるコンセプトです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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