トヨタ新型「ランドクルーザー250」発表 プラドが14年ぶりモデルチェンジ クロカン系SUVが歩んだ33年とは

公開 : 2023.08.02 10:33  更新 : 2023.08.02 15:00

2代目 前後リジッドに別れ

1996年5月に登場した2代目プラドは、本格派SUVとしての基本性能はそのままに初代よりも乗用車らしさの性能アップを目指したモデルとなり、より丸みを帯びたボリューミーなデザインを採用した。

ボディタイプは先代に引き続き2ドアと4ドアが用意されたが、2代目では2ドアはよりスポーティに、4ドアはより力強い印象とするため、フロント周りのデザインを異なるものとしていたのが特徴だった。

ランドクルーザー・プラドTZ ディーゼル(90系1996年)
ランドクルーザー・プラドTZ ディーゼル(90系1996年)    トヨタ

心臓部にも先代が搭載していた3Lディーゼルターボに加え、V型6気筒DOHC3.4Lのガソリンエンジンもラインナップ。足回りも前後リジット式の先代からフロントがダブルウィッシュボーン式、リアが4リンク/コイルサスペンションとなり、ステアリングの形式もラック&ピニオンになるなど、より快適性を高める方向へシフトしている。

そして1997年4月にはエントリーグレードとして直列4気筒2.7Lのガソリンエンジンを搭載したグレードを追加し、2000年7月にはディーゼルターボを新開発のコモンレール式直噴エンジンに換装した。

3代目 電子制御と全車ATの時代に

2002年10月に登場した3代目プラドは、新たに欧州向けランドクルーザーという役割もプラスされた一方で、北米地域などにはレクサスGXとしても導入されることで新設計となる高剛性フレームを採用。センターデフには新開発のトルセンLSDを採用し、オフロードでの走破性とオンロードでの操縦安定性を大幅に高めている。

さらに高度な登降坂制御を行うアクティブTRCやH∞(インフィニティ)-TEMS、リア電子制御エアサスペンションなど、電子制御系の装備が一気に増えたのもトピックと言えるだろう。

ランドクルーザー・プラドTZ GセレクションV6 3400ガソリン(120系2002年)
ランドクルーザー・プラドTZ GセレクションV6 3400ガソリン(120系2002年)    トヨタ

搭載エンジンは2代目の終盤モデルと同様に直4 2.7LとV6 3.4Lのガソリンエンジンと、3Lのディーゼルターボというラインナップは変わらずだが、組み合わせるトランスミッションは先代にあった5速MTは消滅し、全車4速ATとなっている。

その後、20004年8月には2.7Lガソリンエンジンを新開発のものへ置き換え、2005年7月にはV6エンジンを4Lのものに変更するとともに、トランスミッションを5速AT化する一方で、2007年7月にはディーゼルモデルを廃止し、初代から続いたプラドのディーゼルモデルが一旦消滅することとなった。

4代目 14年間売られた長寿モデル

先日まで販売されていた4代目モデルは2009年9月に登場。先代までプラドの実質的な兄弟車となっていたハイラックスサーフを統合し、ショートホイールベースモデルを廃止(海外では継続)して5ドアモデルに一本化した。

「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」をキーワードに、キネティックダイナミックサスペンション(KDSS)やクロールコントロールを採用したほか、オフロードでの走行環境に応じて駆動・制動の制御をスイッチ操作で切り替え可能な「マルチテレインセレクト」を設定。

ランドクルーザー・プラドTX Lパッケージ・マットブラックエディション(150系2022年)
ランドクルーザー・プラドTX Lパッケージ・マットブラックエディション(150系2022年)    トヨタ

さらに車載カメラの映像から周囲の路面状況を確認できる、世界初の「マルチテレインモニター」や、プリクラッシュセーフティシステムを設定するなど、一気に近代化がなされた。

パワートレインは当初は直4 2.7LとV6 4Lと先代のものを踏襲していたが、2015年6月の改良でV6エンジンを廃止する一方で2.8Lのクリーンディーゼルを追加設定。また2.7Lガソリンのトランスミッションも4速から6速へ多段化がなされている(ディーゼルも同様に6速AT)。

そして2017年9月のマイナーチェンジではエクステリアを“今風”に一変させたほか、先進安全装備である「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備して商品力を強化。2022年8月には4代目モデル最後の特別仕様車である「マットブラックエディション」をリリースし、現在に至るというワケだ。

このように、元々はランドクルーザーの乗用版として登場したプラドではあるが、時代の移り変わりと共にそのキャラクターも変化しており、新型がユーザーにどのような受け入れられ方をするのかは非常に興味深いところだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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