ザ・グランドツアラー ベントレー・コンチネンタルGT フェラーリ612 スカリエッティ アストン マーティンDB9 3台比較 後編
公開 : 2023.08.13 07:07
求められる要件を最も高次元に満たしている
W12気筒エンジンは静かにうなり、回転数を高めても個性を表出することはない。トルクが極めて太く、シフトセレクターをDに入れ、おおらかに走るのが最も好印象を生む。
コーナーを抜けるたびに、2.3tを超える車重を実感する。ステアリングは正確に反応するものの、手のひらへ伝わる情報量は最小限。レシオもかなり低い。
撮影終盤、突然の大雨に見舞われてしまったが、コンチネンタルGTはまったく意に介することなく走り続けた。フロントタイヤのグリップ力は、2台を凌駕。外界との隔離性の高さと相乗し、悪天候時の安心感は非常に高い。
6.0L W12エンジンは、低回転域ではトルクフルで安楽。軽くない車重も、安定した走りへ大きく影響している。高回転域まで引っ張っても、612 スカリエッティやDB9のようなエキサイティングさは薄いが。
今回の3台で、最も理想的な2000年代初頭のグランドツアラーはどれだろう。初代コンチネンタルGTは、英国なら最近は2万ポンド(約360万円)程度で入手可能だから、魅力的なチョイスといえる。だが、ドライバーを報いる能力では2台に及ばない。
アストン マーティンDB9のグラマラスなスタイリングにも、強く惹かれる。それでも、上級グランドツアラーとしての能力を冷静に比べるなら、フェラーリ612 スカリエッティが筆者の最有力。求められる要件を、最も高次元に満たしていると思う。
協力:ナイジェル・サンデル社、スコット・フィッシャー氏、サイモン・ドラブル・カーズ社
2000年代初頭のグランドツアラー 3台のスペック
ベントレー・コンチネンタルGT(2003〜2011年/英国仕様)
英国価格:11万ポンド(新車時)/4万ポンド(約720万円)以下(現在)
販売台数:3万3206台
全長:4804mm
全幅:1920mm
全高:1390mm
最高速度:315km/h
0-97km/h加速:4.9秒
燃費:4.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2385kg
パワートレイン:W型12気筒5998ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:560ps/6100rpm
最大トルク:66.1g-m/1600rpm
ギアボックス:6速オートマティック(四輪駆動)
アストン マーティンDB9(2004〜2012年/英国仕様)
英国価格:10万3000ポンド(新車時)/5万ポンド(約900万円)以下(現在)
販売台数:約1万6500台
全長:4697mm
全幅:1880mm
全高:1318mm
最高速度:299km/h
0-97km/h加速:5.4秒
燃費:4.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1760kg
パワートレイン:V型12気筒5935cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:456ps/6000rpm
最大トルク:57.9g-m/5000rpm
ギアボックス:6速オートマティック(後輪駆動)
フェラーリ612 スカリエッティ(2004〜2011年/英国仕様)
英国価格:17万500ポンド(新車時)/10万ポンド(約1800万円)以下(現在)
販売台数:3025台
全長:4902mm
全幅:1957mm
全高:1344mm
最高速度:321km/h
0-97km/h加速:4.4秒
燃費:4.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:V型12気筒5748cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:547ps/7200rpm
最大トルク:59.8g-m/5250rpm
ギアボックス:6速セミオートマティック(後輪駆動)