エンジン世代の最終進化形 メルセデスAMG A 35へ試乗 ボンネットとグリルは45と同じ

公開 : 2023.08.05 08:25

マイルドHV化されたAMG A 35を英国編集部が試乗。クラスきってのホットハッチのアップデート具合を、公道で確かめました。

内燃エンジン世代ホットハッチのアンカー

ひと昔前のホットハッチは、素直で清々しかった。子犬のように敏捷な身のこなしと、ドッカンターボの加速力。最近のクルマには、そんな一癖ある特長が薄いとお嘆きの読者も少なくないだろう。寂しいことだが、現代という時代を表している。

そもそも、臆すことなくホットハッチと呼べるモデルは、絶滅危惧種に数えていい。内燃エンジンの終焉を近い将来に控え、最終進化形と呼べる状態を迎えている。

メルセデスAMG A 35 4マティック・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG A 35 4マティック・プレミアムプラス(英国仕様)

新車価格も、大幅に上昇してしまった。新しいホンダシビック・タイプRは、すっかり高嶺の花になった。

そんなホットハッチの雄で、最終進化形の1つにあるのが、メルセデスAMG A 35だ。通常のメルセデス・ベンツAクラスと同様に、2023年仕様としてアップデートを受けている。数年後にバッテリーEVへ交代するまでの、内燃エンジン世代のアンカーとして。

改良を受けたA 35を見分ける特徴といえるのが、A 45と同じパワーバルジを備えたボンネットと、縦にリブが並ぶフロントグリル。ボンネット上のエンブレムも、アッファルターバッハ特有のものへ交換された。正当なAMGだと、証明するように。

A 45と同じリアウイング 内装もアップデート

ただし、実際のドライビング体験が正当なAMGかと聞かれれば、即答はしにくい。A 35には、通常のAクラス用エンジンのチューニング版が載っている。AMG謹製の専用ユニットではないから、完璧な仕上がりではないとしても不思議はない。

とはいえ新しいC 63には、もはや大地を震わせる勢いのV型8気筒ツインターボエンジンは載っていない。2.0L 4気筒ターボエンジンのプラグイン・ハイブリッドになってしまった。本物という概念自体が、揺らいでもいる。

メルセデスAMG A 35 4マティック・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG A 35 4マティック・プレミアムプラス(英国仕様)

新しいA 35では、ヘッドライトのデザインが改められた。ホイールも新デザインのものが用意されている。試乗車のテールゲートには、A 45譲りの大きなリアウイングも載っていた。

このウイングは、英国での最上級トリムグレードになる、プレミアムプラスを指定した場合にのみ与えられる。通常のA 35の場合、テールゲートの上に庇のようなスポイラーが付く。こちらの方が、筆者は控えめで好きだ。

インテリアではタッチパッドが省かれ、大きなタッチモニターのみでインフォテインメント・システムを操作するように変更された点がトピックだろう。2連モニターの表示は、鮮明で見やすい。

内装の品質は、格上モデルほど入念に拘られているわけではない。それでも見た目はスタイリッシュだし、ダッシュボード上の操作系のレイアウトも機能的といえる。ステアリングホイールは、ダブルスポークの最新版になった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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