エンジン世代の最終進化形 メルセデスAMG A 35へ試乗 ボンネットとグリルは45と同じ
公開 : 2023.08.05 08:25
一貫性が若干足りないドライビング体験
さて、実際にA 35で公道へ出てみると、基本的な個性は変わっていない。登場から5年が経過するものの、動力性能の高さは印象的。若干、ドライビング体験に一貫性が足りないことも同様だ。
流れの速い郊外の道では、アグレッシブに駆け回りたいという姿勢が伝わってくる。サスペンションのスプリングは硬めだが、ある程度速度域が高くなれば乗り心地には落ち着きが出てくる。
反面、ステアリングの反応は、切り込んでいくとやや鈍く感じられる。またフロントシートは座面が高めで、横方向のサポート性が充分とはいえない。引き締められたサスペンションと、上手く歩調を合わせられていない。
ペースを緩めてA 35を運転すると、乗り心地には硬さが目立ち出す。特にツギハギの多い区間では、リアアクスル側の揺れが大きい様子。スプリングレートが高いことが原因といえ、ダンパーを最もソフトな設定にしても、明確に改善されることはない。
5万ポンド(約900万円)もするホットハッチなら、もう少し幅の広い特性が必要だと思う。サスペンションは、もっとしなやかでいい。
ロードノイズは小さくない。タイヤは有能なコンチネンタル・スポーツコンタクト6だから、違う銘柄へ交換しても解決は難しいかもしれない。筆者の経験としては、ミシュランの方がうるさく感じられることが多い。
胸のすくような動力性能 8速AT獲得
それでも、胸のすくような動力性能に間違いはない。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドを獲得し、低回転域では従来から13psほど向上しているという。ただし、306ps/5800rpmの最高出力に変わりはない。追加の部品で、車重は15kg増えている。
アップデートに伴い、8速デュアルクラッチATも獲得している。従来の7速ATより1段多いにも関わらず、軽量でコンパクトだというのがうれしい。変速スピードは、シフトダウン時にワンテンポおく感じだが、シフトアップは唸るほど素早い。
メルセデスAMG A 35は従来通りすこぶる速く、運転スタイル次第では爽快に走り回れる。だが、単体で見れば充分に納得できるものの、高次元にまとまりのある個性を宿すとまでは、いえないかもしれない。
メルセデスAMG A 35 4マティック・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック
英国価格:5万825ポンド(約914万円/試乗車)
全長:4439mm
全幅:1790mm
全高:1400mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:11.6-11.8km/L
CO2排出量:193g/km
車両重量:1495kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:306ps/5800rpm
最大トルク:40.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック