で、DS3。新パワートレイン搭載グレードのシック。前から変わっていない部分の話として──それとグレード云々も関係ない話として、PSAのこのクラスに208（および2008）とC3とこれとがあるなかで運転環境がいちばんフツーでヨイ。キャビンへの収まりの感じもふくめてホッとする。あと、シートも大ぶりでナイス。ではこれがPSA新パワートレイン4モデルのなかでベストかというと……。

惜しいところとしては、操舵関係。208系と違ってきっていくと途中からレシオがクイックになるかのような感じはない。ないけれども、きったあとの戻りの手応えがちょっと……。というのは、ミョーに力強く戻ろうとする。タイヤのセルフアライニングトルクがありのままに反映されている結果とは考えにくい程度にそうなので、気になる。強く戻りたがるのを抑えこみながら戻していく必要がある。そこ以外は……ということもあるけれど、同じDS3でもカブリオレのハンドルの手応えはこういうふうではなかった。あっちのはフツーだった。

あとはアシ関係。これじたいは別にマズくはないけれど、従来型の1.6ℓ＋A/T比でハナがずいぶん軽くなったにしては──あるいは1.6ℓターボ＋M/T比で動力性能がずいぶん控えめになっているわりには──意外にというかあまりというか、変わらない。

DS系のシバリなのか、簡単にいうとスポーティ寄りの設定。で、せっかくの新パワートレインなのに別世界感があまり。だからイカンということはないにせよ。同じDS3でも、速さとアシのバランスはターボエンジンが載った仕様だとおもしろい（もっとおもしろいのはその屋根開きバージョン）。あえてギチギチにカタくはしていないよさがある。新DS3シックの場合は、もっと優しいアシかもっと強力なエンジンのどちらかがほしくなる。