どろどろ悪路 走らせてみた(前編) ジープ・コマンダー

公開 : 2023.08.01 17:15

コマンダーの懐深さ

2Lディーゼルは近頃、珍しいぐらい、カラカラとディーゼルらしいアイドリング音を放つ。走り出してもピックアップは決して鋭くはないが、穏やかなトルクカーブの盛り上がりに応じつつ力強く鷹揚な加速に、不足は感じない。

ステアリングの操舵量もオンロードで走る限りは多めに感じる。でも、このひと時代かふた時代ぐらい旧い感覚のドライバビリティが、嫌になるどころかクセになりそうな、そういう懐深さをコマンダーはあわせもつ。

利便性として変えるべきもの、逆に雰囲気の側に属するものとして変わって欲しくないもの、それらの区別と取捨選択が巧みになされた最新のジープ、それがコマンダーだと思う。
利便性として変えるべきもの、逆に雰囲気の側に属するものとして変わって欲しくないもの、それらの区別と取捨選択が巧みになされた最新のジープ、それがコマンダーだと思う。

今回は試さなかったが、「4WD LOCK」や「4WD LOW」といったデフロックやローギアード切替モードはボタン1つで、「サンド/マッド」「スノー」「AUTO」という路面状況に応じた「セレクテレインシステム」切替もトグルスイッチ。つまりインターフェイスはデジタル世代そのもので、従来のジープならレバーでガコンと入れるか、ダイヤルで回すものだったはずだ。

利便性として変えるべきもの、逆に雰囲気の側に属するものとして変わって欲しくないもの、それらの区別と取捨選択が巧みになされた最新のジープ、それがコマンダーだと思う。

では続いて、対極の存在ともいえるラングラー・アンリミテッド・サハラ2.0Lは、富士ヶ峯オフロードでどんなふるまいを見せたか?(続きは後編にて)

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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