メルセデスAMG SL 詳細データテスト 高めた走行性能 失われた洗練性 今後の改善と熟成に期待
公開 : 2023.08.05 20:25 更新 : 2023.08.22 22:56
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
多くの世代で、SLは同時期のSクラスとともに開発されてきた。その点で言えば、新型のR232型は、歴史の転換点だと言える。設計も開発も、メルセデスAMGが白紙から行ったからだ。そして、兄弟分となるのはメルセデスの旗艦サルーンではなく、年内に登場すると見られるスーパースポーツの次期AMG GTである。
シャシーは、AMGが自社製スポーツカーに好んで使うスペースフレーム的な車体構造で、アルミ中心だがマグネシウムやスティール、カーボンコンポジットも組み亜wせている。先代のR231より、ねじりも縦横それぞれの方向も、剛性が大幅に高められている。
サスペンションは、数十年の歴史においてはじめて、前後ともマルチリンク。スプリングはエアや油圧ではなく、スティールのコイルだ。全車とも、アダプティブダンパーと4WSは標準装備。上位機種のSL63には、電動機械式のアクティブアンチロールを含むアクティブライドコントロールサスペンションが装備される。
4WSもSL初装備だが、380psの4気筒を積むSL43には用意されない。その上位にはV8ツインターボが搭載され、476psのSL55と585psのSL63を設定。さらに今後は、より高出力のSL63S Eパフォーマンスが追加される予定だ。
気になるのは重量だ。久々に採用されたソフトトップは、開閉式メタルトップのバリオルーフより21kg軽く、重心高引き下げにも寄与する。それでも、テスト車の実測重量は1939kgとやや重ためだ。これは2008年に計測したR230型のSL63よりは61kg軽いが、2012年のR231型SL500に比べると120kg重い。R230もR231もバリオルーフだったので、屋根の形式だけが重量を左右する要素ではないことがよくわかる。