ピニンファリーナ 電動SUV「プーラ・ビジョン」公開 次世代車のスタイリングを予告

公開 : 2023.08.02 18:45

ピニンファリーナがEVコンセプト「プーラ・ビジョン」を公開し、将来の電動SUVのデザインを予告しました。高級実用車として機能性と広さにこだわったインテリアが特徴。

新時代への架け橋となるコンセプト

アウトモビリ・ピニンファリーナは8月2日、新しいEVコンセプト「プーラ・ビジョン」を公開した。将来の電動SUVを予告する、高級実用車(luxury utility vehicle)とされる。

ピニンファリーナのパオロ・デラチャCEOは、プーラ・ビジョンは「現在からエキサイティングな新章への架け橋」であると語っている。

ピニンファリーナ・プーラ・ビジョン・コンセプト
ピニンファリーナ・プーラ・ビジョン・コンセプト    ピニンファリーナ

ピニンファリーナのSUV計画が浮き彫りになったのは2020年で、当時のデザイン責任者であったルカ・ボルゴーニョ氏は、最終的に30万ポンド(約5400万円)前後から市販される可能性を示唆していた。

プーラ・ビジョンはブレード状のヘッドライトを備えているが、新デザイン責任者のデイブ・アマンテア氏によれば、「ピニンファリーナの過去の象徴的なモデルのDNAを取り入れ、未来を形作る」ものだという。

そのシルエットは、カーボンファイバーをはじめとする軽量素材を中心に造形され、「ユニークな彫刻的表現」として、低いフロントエンドとフレアアーチは、ニューヨーク近代美術館のコレクションに収蔵された1947年のチシタリア202からインスピレーションを得ている。

キャビンは、機能性とスペースに徹底的にこだわった、先鋭的なインテリアデザインの到来を告げるものである。ドライバーとのエンゲージメントを重視したバッティスタとは根本的に異なるアプローチだ。

帆船から着想を得た「フローティング」フロントシートと、波型に盛り上がったリアベンチは、洗練性とラグジュアリー性を強調し、低いルーフラインはスポーツカーの雰囲気を模している。

ラグジュアリーと機能性の融合

ピニンファリーナのインテリアデザイン・ディレクターであるフランチェスコ・クンダリ氏は、このようなアプローチは将来のモデルの青写真であり、乗員は「軽く、風通しが良く、居心地の良い」キャビンで「くつろぐ」ことができ、「スポーツカーの個性と高級車の空間と快適さを兼ね備えている」と述べた。

これは、1953年のアルファ・ロメオ6C 3000スーパーフロー・コンセプトにインスパイアされた大型ガラスルーフによるところも大きい。ピニンファリーナは以前、乗員が「周囲とのつながりを感じ、あらゆる旅をより充実したものにする」ために製品化に取り組んでいると語っていた。

ピニンファリーナ・プーラ・ビジョン・コンセプト
ピニンファリーナ・プーラ・ビジョン・コンセプト    ピニンファリーナ

ルーフのガラスは横転事故の際に乗員を保護する強靭なアルミニウム製フレーム上に取り付けられており、太陽光を反射して夏場の室内温度を調整できる。

キャビンのその他の主な特徴として、ドライバーの注意散漫を最小限に抑えるセンタータッチスクリーン、ヘッドレストに取り付けられたスピーカー、メルセデス・マイバッハベントレーといった超高級車ブランドを彷彿とさせる一体型ワイン・クーラーなどが挙げられる。これらは実際に市販車にも導入される可能性がある。

ピニンファリーナはパワートレインの詳細を明らかにしていないが、2020年に非公式で披露されたコンセプトでは、自社開発のプラットフォームに最高出力1000psの電動パワートレインを搭載していた。そのため、理論的には0-100km/h加速で約3.0秒、最高速度は300km/h、航続距離は最大547kmになるとデラチャCEOは当時明かしている。また、「ある程度」のオフロード走行も可能だという。

プーラ・ビジョンは、今月末に米カリフォルニア州で開催されるモントレー・カー・ウィークに出展され、コンセプトからデザインのインスピレーションを得た市販車も披露される見込みである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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