運転支援「アイサイト」、マニュアル車に でもエンストしたら……? スバル

公開 : 2023.08.02 18:45

スバルの運転支援システム「アイサイト」がMT車にも初搭載されます。死亡事故ゼロ目標へ一歩。

スバル 安全に対するアプローチ

スバルがプレス向けに定期的に開催しているテックツアー、「SUBARUの事故低減に向けた取り組み(予防安全のさらなる普及に向けて)」

6月にオンラインで開催されたプログラムではこの秋に登場する改良型のBRZに盛り込まれる新たな機能が紹介された。

安全性を追求するというスバルの取り組みは、2030年に「SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突事故による歩行者/自転車等の死亡事故をゼロに」という目標に向け、様々なかたちでおこなわれている。
安全性を追求するというスバルの取り組みは、2030年に「SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突事故による歩行者/自転車等の死亡事故をゼロに」という目標に向け、様々なかたちでおこなわれている。    スバル

安全性を追求するというスバルの取り組みは、2030年に「SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突事故による歩行者/自転車等の死亡事故をゼロに」という目標に向け、様々なかたちでおこなわれている。

同社は航空機メーカーを経て自動車メーカーとなった歴史がある。空の世界では製品の組み立てや設計のミス、操縦者のミスなど、非常に小さなミスが重大な事故につながる可能性を秘めている。

クルマも同じ、人の命を乗せて走るものだから「安全を最優先に考える」という考え方がスバル360の時代から確立されているのである。

多数派MTモデル アイサイト初搭載

スバルでは事故に遭わないための基本設計を0次安全と定め、そこから走行安全、予防安全、衝突安全、そして先進事故自動通報等のつながる安全といったテーマ分けをして、自らが定めた目標に向けて歩みを進めている。

その結果としてスバル車の北米の死亡事故(過去5年)、日本における死亡重傷事故の件数(過去5年)は業界の平均を大きく下回るというデータも出ているのである。

アイサイトの効果。
アイサイトの効果。    スバル

そこで今回新たに発表された技術が、スバルがマニュアルトランスミッション車向け「アイサイト」を開発し、この技術を今秋発売予定のスバルBRZの改良モデル(日本仕様)に搭載する、というものだった。

スバルの予防安全技術であるアイサイトは、ステレオカメラのみで自動車だけでなく歩行者や二輪車までも対象としたプリクラッシュブレーキ、そして追従機能付きクルーズコントロール等を実現した運転支援システムだ。

初代のBRZにアイサイトは搭載されていなかった。だが2021年に新型がデビューした際ATモデルにはアイサイトが装着されていた。

だがATモデルとMTモデルの比率が4:6ほどというBRZの多数派を放っておいては「死亡事故ゼロ」を目指している同社の製品として相応しくない。

MT専用アイサイト、エンストしたら?

今回改良型BRZに装着されるアイサイトはBRZのATモデル用をベースとしており、MT社の特性に合わせたチューニングが施されたものだという。

つまりAT向けの機能といえるAT誤発進/誤後進抑制機能や後進の際のブレーキアシストは装備されない。

MT車向けアイサイトの機能。
MT車向けアイサイトの機能。    スバル

気になるのはMT車による追従機能付きクルーズコントロールの設定だが、こちらは30km/h以上で走行し、ギアが2~6速に入っている状態で作動するようになっている。

一方ギアが適正であっても車速が25km/hを下回った場合にはシステムがキャンセルされる設定にもなっている。

またプリクラッシュブレーキは、例えエンジンがストールした場合でもVDCは作動し続け、制動力が保持される設定になっている点もAT仕様との違いといえる。

MT仕様でもATと同じ安全を手に入れることができる。それは楽しさと安全性を重視してスバルを選ぶユーザーにとって大きな利益をもたらすことになるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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