「史上最高」 レンジローバー・スポーツ試乗 兄貴分なみ高級感/兄貴分しのぐ外観
公開 : 2023.08.02 20:45
レンジローバー・スポーツ・ダイナミックHSE D300の試乗記です。筆者は「過去最高」とコメントしています。
逡巡してきた「スポーツ」の足跡
これまで何度か3代目となる新型レンジローバー・スポーツをドライブしているが、その完成度は非常に高いと感じている。歴代のスポーツと比較してもそれは段違いにいい。
「スポーツ」というサブネームを冠したレンジローバーが初登場したのは2005年のこと。ベースとなったのはレンジローバーではなく弟分のディスカバリーだった。その事実からも当時のランドローバーがSUVのスポーティモデルの成立にそこまで重きを置いていなかったことがわかる。
もちろん21世紀になり、前後リジッドアクスルというオフロード由来の呪縛から逃れたことがレンジローバー・スポーツ誕生のきっかけになっている。
だがそれよりもX5やカイエンといったハナっからスポーティなライバルたちを軽くマークしておく、くらいの意味合いが強かったのではないだろうか。
実際に初代レンジ・スポーツはパワフルなエンジンとレスポンスの良いアシを備えたグレードもあったが、レンジローバーらしい品格を持ち合わせているとは言えなかった。
2013年デビューの2代目はレンジローバーからオールアルミモノコックを受け継いだことで品格も備わった。だが味付けがいくぶんマイルドになったこともあり、特に日本市場では 「敢えてスポーツを選びたくなる理由が希薄」だったように思う。
今回の3代目はついに、そんな逡巡から脱却した1台だと実感している。では2代目との違いは何だったのか?
違いは見た目、またはオーラにあり
今回の新型レンジローバー・スポーツはユーチューブから浸透しはじめた。アイスランドの巨大なダムの放水路を、赤いレンジローバー・スポーツが遡っていくインパクトのあるショートムービーである。その挑戦は浮世離れしているが、インパクトは充分にあった。
だがムービーを見てハッとさせられたのはフロントマスクからリアエンドまでフラッシュサーフェイスが徹底されたスタイリングだった。エンブレムに頼らなくても「スポーツ」、そして「レンジローバー」であることがわかる。
それからほどなくして目にすることになった新型レンジローバー・スポーツの実車は、ムービーで見た以上の存在感があった。兄貴分と比べ躍動的な雰囲気が漂う。一方建築物に例えればレンジローバーが伝統的なレンガ作りであるのに対し、スポーツはコンクリート打ちっぱなしのモダンな雰囲気が漂う。
新型は走りも印象的だった。初代はもちろんだが2代目でもレンジローバー・スポーツの走りは懸命に「スポーツ」の部分をアピールしようとしていた。だが3代目はスタイリングで強くアピールしつつ、実際の走りはスポーツ性能と乗り心地の良さが共にグッと高められている。ベースとなっているMLA-フレックスプラットフォームや最新のエアサスの包容力が効いているに違いない。
2代目との違いは、スペック的なものではなく全身からにじみ出る「余裕」のようなもの。3代目にして初めて感じるレンジ・スポーツのオーラと言い換えてもいいと思う。