■どんな感じ?

V8エンジンの力強さとエグゾーストノートだけで、ディーゼルだけでなく、あえてこちらのエンジンを選ぶ充分な根拠の成立だ。外からアイドリング中の音を聴こうが、中から回転が高まってゆくときの雄々しい音を聴こうが、どちらにしてもある種の快感をおぼえることは間違いない。

450psのエンジンと瞬時に変速が可能な8速トランスミッションの共同作業により、先にも記したとおり0-100km/hタイムは4.8秒。実際に体感すれば、シンプルに感動することになるだろう。

さらに感動を味わいたければベンドに高速で突っ込んでみるのがいい。身のこなしはこの手のサイズのクルマからは想像できないほどで、その他のロードホールディングや正確なステアリング、コントロール性の高さなどは、エンターテイメントと表現するのが相応しい。

これよりも小さなポルシェ・マカンと比較するとアジリティこそ一歩譲れど、リアアクスルと、限界点近くの豊富なトルクが織りなすアンダーステアへの持ち込ませ方は絶妙。

しかしながらホイールサイズゆえに、荒れた路面の上では滑らかさに欠ける時がある。下からの明確な突き上げは、洗練を売りにするX6にはあまり似つかわしくないと感じた次第だ。ただしノイズ処理のレベルはかなり高く、ダッシュボードに代表される室内装飾は見事なもの。精度高く仕上げられたインテリアはラグジュアリーSUVを代表する出来栄えといっても過言ではない。

キャビン前部のスペースは広大であるものの、後部座席周辺のスペースは感動とは程遠い。とくに後席の足元のスペースは驚くほど狭く、足元をリラックスさせようとしても前部座席の背もたれに抑圧されっぱなしだった。その反面、前部座席の足元、センターコンソールの脇にはニーパットが組み付けられているおかげで勢い良くコーナーに差し掛かった際も足元を安定させることができた。やや付け焼刃的な装飾に感じなくもないが、これが思いのほかの効果を示したのである。