BMW X6 M50d
公開 : 2014.10.15 23:40 更新 : 2017.05.29 17:59
■どんな感じ?
センターコンソールの脇にニーパッドが加えられたことは目立つ変更点の一つ。コーナリング時の横方向の力が大きくなった時に、膝部から体を支えることができる。
幅広の19インチ・ホイールや、オプションのロール・コントロール・システムによる、M50dのグリップや安定感にはただただ驚かされるばかり。2トンを超える大柄な5ドア・クーペからは想像できないほどである。
サーキットを走らせれば、アンダーステアへの持っていきかたも絶妙で、終始身のこなしはキビキビとしている。アクセルペダルを強く踏み込めば、前輪から力強くクルマを引っ張ってくれる。
またエンジニア曰く雪道での性能もかなりのものなのだそう。トルクベクトリングの働きかけのおかげで素早く狙ったラインをトレースできるとのこと。通常時は全パワーの60%が後輪に伝えられる。
ステアリングの情報量はやや物足りなく感じるが、正確性と重みには好感が持てる。
ディーゼルのラインナップの中でもっともパワフルなこのトリプル・ターボ直列6気筒3.0ℓエンジンは386psと75.5kg-mを発生。8速ATのおかげで迅速にパワーを引き出すことができる。また130km/h前後だと1800rpmより少し上の回転数で巡航することができ、スポーツ・モードにすればシフトチェンジの演出はドライバーを楽しませてくれる。
またこの速度域での静粛性はとてつもなく素晴らしく、ディーゼルの音がキャビンに侵入してくることもない。聞こえるのは風が穏やかにボディ後方へ流れてゆく音だけだ。
セルフレベリング・エア・スプリングをバック・アクスルに装着しているにも関わらず、滑らかなアメリカの路面においてもやや衝撃を伝えることがあったので、英国の道では覚悟しなければなるまい。
エンスージアストならばV8エンジンを載せたxDrive50iの方を好むかもしれないが、こちらのエンジンも充分に活気に満ちていると言える。
クーペのシルエットを持ち、スポーティな方向に振っているところがX6の持ち味とも言えるのだけれど、実用性もまずまず。特に5名乗車の際のスペースには驚いた。足元こそ大きなフロント・シートによって制限されるけれど、頭上スペースはあなたが想像しているほど狭くはない。
万人受けするかどうかは別として、豪奢な仕立てのインテリアは乗っていて喜ばしい気分になった。